パニック障害 最近よく耳にする「パニック障害」という言葉。 |
パニック発作が繰り返されます
パニック障害とは、ある日突然、動悸や呼吸困難などの発作が起こり(パニック発作)、その発作が何度も繰り返される病気のこと。心臓がドキドキしたり、息が苦しくなり、「死ぬのではないか」という恐怖を感じます。発作自体は10〜30分ほどで治まりますが、発作がないときも、「あの苦しい発作がまた起きるのではないか」という不安にさいなまれるようになり、その不安がまた新たな発作を引き起こす、という悪循環に陥ってしまいます。 女性患者は男性の3倍 パニック発作そのものは、3人に1人が体験するといわれますがその発作を繰り返し、パニック障害という病気に至るのは、100人のうち3.4人の割合だと推定されています。男女別では女性に多く、男性の3倍になります。また女性のなかで、もっとも起こりやすい年代は30代。次いで20代となっています。30代女性では100人に7、8人の割合で起こるというこのパニック障害。20代〜30代の女性がとくに気をつけたい病気なのです。 不安や恐怖心が強い人に多い パニック発作が起きても、パニック障害にまで至る人と、発作だけですむ人がいます。パニック障害になりやすいのは、もともと不安や恐怖心が強いタイプの人。幼いころから内気で人見知りが強く、親から離れるのが不安だった人や、高所や閉所、犬などを怖がっていた人などは、なりやすい性質を持っているといえます。また多くの場合、ストレスが過度にかかってピークに達したときに、病気が起こりやすくなります。 ::: パニック障害チェックリスト :::
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□仕事や家事、育児で精神的に追いつめられている
パニック障害は、仕事が忙しくてきつい、家事や育児で毎日息をつく暇もない、借金を抱えて大変な状況に陥っている、など、精神的にギリギリまで追い詰められた状態が続いているときに、発症することが多くなります。息ができないような、精神的な圧迫感を感じているときは、パニック障害が起こりやすいといえます。 |
□完壁主義で細かいことが気になる
完壁主義で、目的達成に向かって熱心に働かないと気がすまない性格の人にも多くみられます。またそのために、細かいところまで納得できないといられない、神経質で強迫観念の強い人も要注意です。 |
□がんばり屋で自分を犠牲にする性格
パニック障害になる人のなかには、がんばり屋で仕事や家事に一生懸命打ち込む傾向がみられます。また、お人よしで、自分のことより人のことを優先する、人の顔色ばかりうかがって、自分を犠牲にしてしまう、といった特徴も多くみられるといわれます。 |
□タバコやお酒、コーヒーが好き
タバコやお酒には、とったそのときには抗不安作用があり、不安がやわらぐという特徴があります。しかし時間がたつと、逆に反動が出て、不安が起こりやすくなります。二日酔いのときに初めてのパニック発作を体験する人も多いほど。またコーヒーに含まれるカフェインの刺激で、ドキドキしたり不安になる人もあり、それが発作の引き金になることもあります。 |
□肉体的に疲れている
過労や重労働などで、肉体的に疲れていると、パニック発作が起こりやすくなります。体が疲れているとき、体には疲労物質である乳酸がたまります。この乳酸が体内で多くなると、体のだるさや肩こりの原因になるほか、パニック発作を引き起こす誘因にもなるのです。 |
□過去にうつ病や自律神経失調症などにかかったことがある
パニック障害は、うつ病を併発したり、もともとうつ病を持っている人にも多くみられます。また、そもそも自律神経のアンバランス状態を示す症状があらわれる病気なので、自律神経失調症にかかったり、自律神経の調子をくずしやすい人にも起こりやすいといえます。 |
□家庭や職場の人間関係などでストレスがたまっている
パニック障害はストレスが最高潮に達している時期に起こりやすいのが特徴です。夫婦や家族間、嫁姑問題といった家庭内の人間関係で悩んでいたり、職場での人間関係がうまくいかないなど、精神的にも物理的にも、追い詰められた状況から強い不安が起こり、それがパニックを発症する引き金になっていきます。 |
□幼いころ、人見知りや虚弱体質があった
小さいころ人見知りが強く、幼稚園など母親と離れるシーンでよく大泣きしたり、怖がりで暗いところや犬などが怖くてたまらなかった人は要注意。もともと不安が強く、パニック障害が起こりやすい傾向を持っているといえます。また朝礼で倒れる、給食が食べられないなど虚弱体質だった人も、性格的に過敏で、パニックになりやすいといえます。 |
□ぜんそくの薬やピル、うつ病の薬などをのんでいる
ぜんそくの人に使われる気管支拡張剤や、ピルをのんでいると、パニック障害が引き起こされることがあります。またうつ病の薬(抗うつ薬)をのんでいて、急にやめた場合、薬のリバウンドでパニック発作が起こることもあります。 |
::: パニック障害はどうして起こるの? :::
脳内で神経伝達物質の活動が高まって起こる |
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::: パニック障害体験談 :::
帰宅途中の電車で、突然発作が(Aさん・32歳・会社員) ※これらの体験談は取材をもとにしたそデルケースです。 ::: もしもパニック発作を感じたら…… ::: パニック発作が起こってしまうと、強い恐怖や不安を感じて、取り乱してしまいがち。でも日ごろから、発作は必ず治まり、死ぬことはないということを理解し、どう対処すればいいかを知っておくと、いざというときに安心です。 |
腹ばいまたは前かがみの姿勢をとる
パニック発作を感じたら、まずその場でできるだけ、腹ばいになるか、前かがみの姿勢をとりましょう。前かがみになるときは、椅子に座り、できれば頭がひざの間に入るくらいにします。こうすると、ハアハアと胸でしていた呼吸が自然に腹式呼吸になり、過呼吸を防ぐとともに、自律神経が安定し、動悸や息苦しさなどの症状が治まります |
電話で親しい人に声をかけてもらう 周囲にだれもいなくて、強い不安を覚えるときは、両親や家族など、親しい人にすぐ電話をかけ、「大丈夫」と声をかけてもらいましょう。発作は数分から数十分で治まるものです。そのことを身内に理解してもらい、「じきに治まるから大丈夫よ」「それまでこうして話をしているからね」と励ましてもらうと、不安が治まり、冷静さを取り戻せます |
リラックスできるツボを押す
気分をリラックスさせるツボを押しながら、「大丈夫、大丈夫」と気持ちを静めます。手の甲側の親指と人さし指の間の指のまたで、押して痛む「合谷」や、手首内側で小指の下の骨と腱の間にある「神門」、手首内側のしわからひじ側に指3本分離れた真ん中の「内関」などがおすすめ。 |
アロマテラピーの香りをかいで深呼吸
ローズやラベンダーなどの精油(エッセンシャルオイル)の香りをかぐと、鼻の粘膜から香りの信号が脳へ届き、不安が鎮まることがわかっています。ティッシュやハンカチに1〜2滴たらしたら香りを吸 い込み、深呼吸をしてみましょう。息を吐くときに、リラックスをつかさどる副交感神経の働きが活発になり、自律神経が安定して症状がやわらぎます |
冷たい水を飲む
不安に翻弄されそうになったら、冷たい水を飲んで気分転換を。パニック発作は、もともと温度上昇によっても起こりやすくなります。温度が上昇する5月〜7月に、もっとも発症が多くなったり、電車や映画館の人いきれの中で発症しやすいのは、このため。冷たい水で冷やされることで、発作が治まりやすくなります |
身近な人がパニック発作を起こしたら……
腹ばいや前かがみの姿勢をとらせてから、手を握ったり、やさしく背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫」と声をかけましょう。発作はしばらくすると治まります。決して慌てず、冷静に対応することが大切。また病気になったのは本人のせいではなく、気の持ちようでどうにかなる病気でもありません。不安やつらさをよく理解し、受け止めることも重要です |
::: 自分でできるパニック発作の予防法 :::
疲れをためない
お酢をとる
お酒やタバコを控える
カフェインに注意
汗をかく運動をする
旱寝早起き、規則正しい生活 ::: 発作が繰り返されるとき、不安が強いときは一度病院へ ::: パニック障害は、適切な治療がされないと、長引いて広場恐怖やうつ状態が深刻になり、治りにくくなります。早めに治療をすることで、つらい発作が抑えられ、回復も早まります。発作が繰り返されたり、不安が強いときは病院で診てもらいましょう。
精神科か心療内科を受診
心電図などの検査で、体の病気がないか調べます
パニック障害はこうして診断されます
::: 治療は薬物療法と心理的療法が中心です :::
薬で発作は治まります
広場恐怖やその他の症状にも対処が必要です
心理教育や認知行動療法なども効果的です
「病気日記」をつけましょう ::: パニック障害と併発しやすい病気 :::
うつ病
甲状腺機能亢進症
不整脈
過換気症候群 |