心の病気大事典
突然胸が苦しい、息ができない……

パニック障害

監修/貝谷久宣
(医療法人 和楽会理事長)

取材・文/岸原千雅子
イラスト/すがわらけいこ

女性のBODYブック 4:2008,42-47

最近よく耳にする「パニック障害」という言葉。
突然息が苦しくなったり、めまいがしたりなどの発作を繰り返す病気です。
若い女性に増えているだけに、興味を持つ人も多いよう。
ここでは、発作が出たときの対処法や自分でできる予防法、病院での治療・薬についても詳しくご紹介します。

パニック発作が繰り返されます
 パニック障害とは、ある日突然、動悸や呼吸困難などの発作が起こり(パニック発作)、その発作が何度も繰り返される病気のこと。心臓がドキドキしたり、息が苦しくなり、「死ぬのではないか」という恐怖を感じます。発作自体は10〜30分ほどで治まりますが、発作がないときも、「あの苦しい発作がまた起きるのではないか」という不安にさいなまれるようになり、その不安がまた新たな発作を引き起こす、という悪循環に陥ってしまいます。

女性患者は男性の3倍
 パニック発作そのものは、3人に1人が体験するといわれますがその発作を繰り返し、パニック障害という病気に至るのは、100人のうち3.4人の割合だと推定されています。男女別では女性に多く、男性の3倍になります。また女性のなかで、もっとも起こりやすい年代は30代。次いで20代となっています。30代女性では100人に7、8人の割合で起こるというこのパニック障害。20代〜30代の女性がとくに気をつけたい病気なのです。

不安や恐怖心が強い人に多い
 パニック発作が起きても、パニック障害にまで至る人と、発作だけですむ人がいます。パニック障害になりやすいのは、もともと不安や恐怖心が強いタイプの人。幼いころから内気で人見知りが強く、親から離れるのが不安だった人や、高所や閉所、犬などを怖がっていた人などは、なりやすい性質を持っているといえます。また多くの場合、ストレスが過度にかかってピークに達したときに、病気が起こりやすくなります。

::: パニック障害チェックリスト :::

 

仕事や家事、育児で精神的に追いつめられている
 パニック障害は、仕事が忙しくてきつい、家事や育児で毎日息をつく暇もない、借金を抱えて大変な状況に陥っている、など、精神的にギリギリまで追い詰められた状態が続いているときに、発症することが多くなります。息ができないような、精神的な圧迫感を感じているときは、パニック障害が起こりやすいといえます。

完壁主義で細かいことが気になる
 完壁主義で、目的達成に向かって熱心に働かないと気がすまない性格の人にも多くみられます。またそのために、細かいところまで納得できないといられない、神経質で強迫観念の強い人も要注意です。

がんばり屋で自分を犠牲にする性格
 パニック障害になる人のなかには、がんばり屋で仕事や家事に一生懸命打ち込む傾向がみられます。また、お人よしで、自分のことより人のことを優先する、人の顔色ばかりうかがって、自分を犠牲にしてしまう、といった特徴も多くみられるといわれます。

タバコやお酒、コーヒーが好き
 タバコやお酒には、とったそのときには抗不安作用があり、不安がやわらぐという特徴があります。しかし時間がたつと、逆に反動が出て、不安が起こりやすくなります。二日酔いのときに初めてのパニック発作を体験する人も多いほど。またコーヒーに含まれるカフェインの刺激で、ドキドキしたり不安になる人もあり、それが発作の引き金になることもあります。

肉体的に疲れている
 過労や重労働などで、肉体的に疲れていると、パニック発作が起こりやすくなります。体が疲れているとき、体には疲労物質である乳酸がたまります。この乳酸が体内で多くなると、体のだるさや肩こりの原因になるほか、パニック発作を引き起こす誘因にもなるのです。

過去にうつ病や自律神経失調症などにかかったことがある
 パニック障害は、うつ病を併発したり、もともとうつ病を持っている人にも多くみられます。また、そもそも自律神経のアンバランス状態を示す症状があらわれる病気なので、自律神経失調症にかかったり、自律神経の調子をくずしやすい人にも起こりやすいといえます。

家庭や職場の人間関係などでストレスがたまっている
 パニック障害はストレスが最高潮に達している時期に起こりやすいのが特徴です。夫婦や家族間、嫁姑問題といった家庭内の人間関係で悩んでいたり、職場での人間関係がうまくいかないなど、精神的にも物理的にも、追い詰められた状況から強い不安が起こり、それがパニックを発症する引き金になっていきます。

幼いころ、人見知りや虚弱体質があった
 小さいころ人見知りが強く、幼稚園など母親と離れるシーンでよく大泣きしたり、怖がりで暗いところや犬などが怖くてたまらなかった人は要注意。もともと不安が強く、パニック障害が起こりやすい傾向を持っているといえます。また朝礼で倒れる、給食が食べられないなど虚弱体質だった人も、性格的に過敏で、パニックになりやすいといえます。

ぜんそくの薬やピル、うつ病の薬などをのんでいる
 ぜんそくの人に使われる気管支拡張剤や、ピルをのんでいると、パニック障害が引き起こされることがあります。またうつ病の薬(抗うつ薬)をのんでいて、急にやめた場合、薬のリバウンドでパニック発作が起こることもあります。


::: パニック障害はどうして起こるの? :::

脳内で神経伝達物質の活動が高まって起こる
 パニック障害の原因は、正確にはわかっていません。ただパニック発作が起きているとき、脳内の神経伝達物質(脳内物質)のひとつで、不安や興奮と関係するノルアドレナリンの活動性が高まっていることが知られています。これがパニック発作を引き起こし、自律神経の緊張状態で生じる、動悸や速い呼吸、発汗などの症状が起きてきます。実際、ノルアドレナリンの活動を鎮めるセロトニンという脳内物質の利用率を高める抗うつ薬(SSRl)は、パニック障害に有効な治療薬として使われています。

発作の合間に「予期不安」が生じるのが特徴
 発作には、「心臓がバクバクして鼓動が激しくなる」「ハアハアして息苦しい、息ができない」「めまいで立っていられない」「冷や汗やほてり、手足の震え」など、特有の症状があります。それに加え、「このままだと死んでしまう」「気が変になってしまうのではないか」「だれも助けてくれない」などの恐怖に見舞われるのも特徴。こうした発作を「パニック発作」といい、この発作が何度も繰り返されるため、発作がないときでも、「いつまたあの恐ろしい発作が起こるのではないか」という強い不安に、つねに脅えて暮らすことになります。これを「予期不安」といい、パニック障害という病気には、この予期不安が必ず生じてきます。

乗り物や人混みが怖い「広場恐怖」に陥り日常生活に支障が
 予期不安が高じてくると、万が一パニック発作が起きたらすぐに逃げ出せない場所や、助けを求められない状況を恐れ、強く避けるようになります。「通勤電車の中で発作が起きたら逃げられない」「歯医者で治療中だったらどうしよう」と思うと出かけられなくなったり、逆にひとりで家にいることができなくなるのです。これは「広場恐怖」と呼ばれ、パニック障害の4分の3の人が、多かれ少なかれ体験するといわれます。広場恐怖があると、仕事を失ったり家事ができなくなるなど、日常生活に支障が出るうえに、関心や意欲が低下するうつ状態を伴うことも多いため、つらさが増してしまいます。

生死にかかわらない病気。きちんとした治療で対処できます
 パニック障害は、ストレスが最高潮に達し、追い詰められた状態で発症しやすくなります。スピード化・情報化された現代では、だれもが何かに追われるように暮らしています。先進国ほど多い傾向がみられるパニック障害は、ある意味現代病といえるのかもしれません。とはいえ、死ぬほどの恐怖を味わう発作も、実際には数分から数十分で何事もなく治まります。生死にかかわる病気ではないことを知ったうえで、広場恐怖が重症になったり、うつ状態を伴う前に、適切な治療を受けることが大事。早めの受診が肝心です。


::: パニック障害体験談 :::

帰宅途中の電車で、突然発作が(Aさん・32歳・会社員)
 コンピューターメーカーに勤めるAさんには、現在5歳の娘がいます。仕事を持ち帰って夜遅くまで働き、朝は6時に起床して娘を保育園に送る日が続いていました。明日は久しぶりの休日という夜、帰りの電車の中で突然、頭に血が上って「血管が破裂してしまう!」という恐怖に襲われたのです。つり革にしがみついて呼吸を整えようとしたところ、空気が肺に届かず息ができません。すぐに救急車で病院へ。「ストレスと過労で過呼吸を起こしたのではないか」と言われ、精密検査を受けましたが異常なし。でもその後も床に入ると苦しい症状が出るので、不安でたまりません。そこで同じ病院の心療内科を紹介され、パニック障害と診断されました。薬をのみはじめ、仕事もがんばりすぎずゆとりを持つようにして以来、発作は起こっていません。

発作への対処法を知ってやりすごす(Bさん・28歳・主婦)
 ある晩、Bさんは夜中に目覚めて激しい動悸や胸苦しさを感じました。体じゅうの力が抜けて動けず、「死んでしまうのでは」と思うような強い不安に襲われて、病院に運ばれました。翌日も同様の発作があり、精神安定剤を処方されました。薬をのんで症状はやや落ち着いたものの、発作はたびたび続き、いつまた発作が起きるのではと予期不安に悩まされ、さらに遠出ができない広場恐怖の状態に。インターネットで探したパニック障害専門の精神科を受診し、適切な薬の服用とともに、病気について教わって、「発作がきても死ぬことはない、やりすごすようにすれば必ず治まる」と知り、現在少しずつ不安が治まってきています。

※これらの体験談は取材をもとにしたそデルケースです。


::: もしもパニック発作を感じたら…… :::

パニック発作が起こってしまうと、強い恐怖や不安を感じて、取り乱してしまいがち。でも日ごろから、発作は必ず治まり、死ぬことはないということを理解し、どう対処すればいいかを知っておくと、いざというときに安心です。

腹ばいまたは前かがみの姿勢をとる
 パニック発作を感じたら、まずその場でできるだけ、腹ばいになるか、前かがみの姿勢をとりましょう。前かがみになるときは、椅子に座り、できれば頭がひざの間に入るくらいにします。こうすると、ハアハアと胸でしていた呼吸が自然に腹式呼吸になり、過呼吸を防ぐとともに、自律神経が安定し、動悸や息苦しさなどの症状が治まります

電話で親しい人に声をかけてもらう
 周囲にだれもいなくて、強い不安を覚えるときは、両親や家族など、親しい人にすぐ電話をかけ、「大丈夫」と声をかけてもらいましょう。発作は数分から数十分で治まるものです。そのことを身内に理解してもらい、「じきに治まるから大丈夫よ」「それまでこうして話をしているからね」と励ましてもらうと、不安が治まり、冷静さを取り戻せます

リラックスできるツボを押す
 気分をリラックスさせるツボを押しながら、「大丈夫、大丈夫」と気持ちを静めます。手の甲側の親指と人さし指の間の指のまたで、押して痛む「合谷」や、手首内側で小指の下の骨と腱の間にある「神門」、手首内側のしわからひじ側に指3本分離れた真ん中の「内関」などがおすすめ。

アロマテラピーの香りをかいで深呼吸
 ローズやラベンダーなどの精油(エッセンシャルオイル)の香りをかぐと、鼻の粘膜から香りの信号が脳へ届き、不安が鎮まることがわかっています。ティッシュやハンカチに1〜2滴たらしたら香りを吸
い込み、深呼吸をしてみましょう。息を吐くときに、リラックスをつかさどる副交感神経の働きが活発になり、自律神経が安定して症状がやわらぎます

冷たい水を飲む
 不安に翻弄されそうになったら、冷たい水を飲んで気分転換を。パニック発作は、もともと温度上昇によっても起こりやすくなります。温度が上昇する5月〜7月に、もっとも発症が多くなったり、電車や映画館の人いきれの中で発症しやすいのは、このため。冷たい水で冷やされることで、発作が治まりやすくなります

身近な人がパニック発作を起こしたら……
 腹ばいや前かがみの姿勢をとらせてから、手を握ったり、やさしく背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫」と声をかけましょう。発作はしばらくすると治まります。決して慌てず、冷静に対応することが大切。また病気になったのは本人のせいではなく、気の持ちようでどうにかなる病気でもありません。不安やつらさをよく理解し、受け止めることも重要です


::: 自分でできるパニック発作の予防法 :::

疲れをためない
過労で乳酸が体内にたまると、発作が起こりやすくなります。

お酢をとる
酢には、乳酸の分解を促す働きがあり、発作の予防に役立ちます。

お酒やタバコを控える
アルコールやニコチンは、摂取後時間がたつと、不安を引き起こして発作の引き金に。

カフェインに注意
カフエインに過敏でコーヒーを飲むとドキドキする人は、コーヒーを控えましょう。

汗をかく運動をする
乳酸を蓄積させないためには、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動が効果的。

旱寝早起き、規則正しい生活
睡眠不足を避けるとともに、日内リズムを整えて、自律神経を安定させることにつながります。


::: 発作が繰り返されるとき、不安が強いときは一度病院へ :::

パニック障害は、適切な治療がされないと、長引いて広場恐怖やうつ状態が深刻になり、治りにくくなります。早めに治療をすることで、つらい発作が抑えられ、回復も早まります。発作が繰り返されたり、不安が強いときは病院で診てもらいましょう。

精神科か心療内科を受診
 パニック障害を専門に診てくれるのは、精神科か心療内科です。ただしパニック障害についてよく知っている医師でないと、過呼吸や自律神経失調症などと診断されるなどして、適切な治療がされず、病気が長引いてしまいます。かかる前に電話をして「パニック障害の患者さんをたくさん診ていますか?」と確認してから、受診すると安心です。かかりつけの内科医がいれば、場合によっては、まず初めにそこで相談して、専門医を紹介してもらうことも可能です。

心電図などの検査で、体の病気がないか調べます
 病院では、まず問診で症状や状況を確認したあと、体の病気がないかどうか検査が行われます。基本は心電図と血液検査で、これによって心臓病や、甲状腺の機能異常など、体の病気がないかどうかチエックされます。脳の病気が疑われる場合には、CTやMRlなど体内の画像を見る検査が行われることもあります。こうした検査で異常が認められず、また以下の診断基準を満たすと判断された場合に、パニック障害と診断されます。

パニック障害はこうして診断されます
 パニック障害は、大きく以下の2つの条件を満たす場合に診断されます。
下表に挙げた基準を満たす「パニック発作」が予期せず起こり、繰り返されること。
それに続いて少なくとも1カ月間、次の発作が起こるのではないかという心配(予期不安)が持続すること。つまりパニック発作をたびたび体験しても、「発作が起こるのではないか」という「予期不安」がなければ、パニック障害とは診断されません。ただし、同じパニック障害でも、発作が起きたら逃げ出せない、助けを求められないと思う状況が不安で、乗り物に乗れなかったり外出できない「広場恐怖」を伴う場合と、伴わない場合があります

――― パニック発作の診断基準 ―――

ある限定時間内に、激しい恐怖感や不安感とともに、以下の症状のうち4つ以上が突然出現し、10分以内にピークに達する場合。

@心臓がドキドキする(心悸亢進)、または心拍数が増加する
A発汗
B身震い、手足の震え
C呼吸が速くなる、息苦しい
D息が詰まる
E胸の痛み、または不快感
F吐きけ、腹部のいやな感じ
Dめまい、不安定感、頭が軽くなる、ふらつき
H非現実感、自分が自分でない感じ
I常軌を逸してしまう、狂ってしまうのではないかと感じる
J死ぬのではないかと恐れる
K知覚異常(しびれ感、うずき感)
L寒け、またはほてり

::: 治療は薬物療法と心理的療法が中心です :::

薬で発作は治まります
 パニック障害では、発作が起きるとそれが脳への刺激になり、さらに次の発作が起こりやすくなるため、まず薬で発作を抑えるのが基本です。そのために使用されるのは、SSRlといって、不安をやわらげる脳内物質であるセロトニンの利用率を高める抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)および、抗不安薬。またパニック障害はうつ状態を伴うことも多く、下の表のようにその他の抗うつ薬も用いられます。気分の波を安定させて発作を抑える目的で、抗てんかん薬が使われることもあります。

広場恐怖やその他の症状にも対処が必要です
 「電車や車で外出できない」「人混みやデパート、美容院などに行けない」といった広場恐怖にも、抗うつ薬のSSRIが効果を持ちます。パニック障害は、充分な治療がなされていないと、発作が治まっても「残遺症状」といわれるものが何年も続くこともありますが、これにもSSRIを服用することで対処できます。残遺症状とは、肩こりや息苦しさ、頭が重い、目がチカチカする、体がドクンドクンと脈打つ、などが持続的に起こるもので、自律神経失調症、更年期障害などと間違われて、適切な治療が行われないこともあります。

心理教育や認知行動療法なども効果的です
 「心理教育」といって、病気についての正しい知識や心の持ちようを学ぶことも大きな効果があります。今の自分のつらい状況がパニック障害という病気であり、適切な治療でよくなること、発作や予期不安、広場恐怖、抑うつ感など心理的に苦しい状態が、どのように起こり、どう対処できるかについてわかると、無用な不安が治まり、現実的に対処できるようになるのです。また「認知行動療法」といって、自分のとらえ方や行動の仕方を変えることで、不安や発作に対処できるようにする治療法もあります。なかでも「暴露療法」は、不安な場所にあえて臨ませ、発作が起こらないことを実際に体験して、恐怖をぬぐい去る方法で、その効果が認められています

「病気日記」をつけましょう
 自分でできる手軽な認知行動療法としては、「病気日記」をつけること。自分がどんな場面でどの程度の不安を持ち、それについてどんなふうに行動したりどんな考えを持ったか、自分なりにどんな工夫をして、それが有効だったかどうか、いつ薬をのんでどのように効いたか(効かなかったか)、など、起きたことや気づいたこと、それに対するコメントなど、何でもその日記に書きとめます。自分の状態を客観的にとらえることができ、不安の少ない場面もあることに気づくなど、自己理解が深まります。それによって考え方や対処法を適切なものにしたり、より自分に合った薬を選択していく手だてとなります。


::: パニック障害と併発しやすい病気 :::

うつ病
 パニック障害とはとても近い関係にあり、併発しやすい病気。パニック障害の人の半分以上が、生涯のうちいつかはうつ病を経験するともいわれます、うつ病の基本症状は、気分が落ち込む、やる気や何に対しても興味が持てない、食欲がない、睡眠障害などですが、パニック障害と併発するうつ病の場合、やや様子が異なります。悲哀感や絶望感、孤独感を夕方から夜に強く感じる、過眠や過食、疲労感などがおもな症状です。

甲状腺機能亢進症
 ホルモンを分泌する器官のひとつ、甲状腺の機能が過剰になる病気で、バセドウ病もそのひとつ。脈が速くなったり眼球の突出、震え、不安感、動悸、汗をかきやすい、息苦しい、イライラなどがおもな症状で、パニック障害とよく似ているため、病院ではこの病気がないか、必ず確認されます。両方とも20代〜30代の女性に多くみられ、併発することも多い病気です

不整脈
 心臓から血液が送り出されるときの心拍に乱れが生じる病気。動悸や息苦しさ、呼吸や脈が速くなるなど、パニック発作と症状が似ていますが、不整脈は心臓の病気。狭心症や心筋梗塞などにつながるおそれもあるため、心電図をとって診断します。パニック障害との併発も多くなります。

過換気症候群
 息が苦しくなって空気が吸い込めなくなり、動悸、めまい、手足のしびれなどの発作を繰り返すもの。過呼吸とも呼ばれます。ストレスや不安が関係し、代表的な心身症のひとつといわれます。治療には、紙袋をロに当てて自分の呼気を再び吸うペーパーバッグ法が用いられます。「死ぬのではないか」という不安感を伴い、症状も似ているため、パニック障害を過換気症候群と診断されることも。適切な治療が受けられず長引くこともあるので、注意が必要です。