自殺、自傷、過食、夜型、引きこもり……

パニック障害は非定型うつ病という激しい気分の落ち込みをともなううつ病を併発するケースが多く、日常生活の質をさらに低下させてしまうことで、病気が悪化することが多いので、悪化の原因になる生活習慣などを改善しましょう。

ちょっとしたことで落ち込み、自分を責める

 「パニック障害とうつ病を併発すると、自殺を考える割合が急に高くなります」と説明する貝谷医師。パニック障害だけであればパニック発作をうまくコントロールすることで、病状を改善させることもできますが、うつ病になると気分が落ち込んで自分を責めたりして苦しむようになってしまうそうです。
 パニック障害の人が併発しやすい非定型うつ病は、気分の浮き沈みが激しく、誰かにほめられたり、いいことがあると気分が高揚して明るく元気に振る舞います。しかし、少しでもいやなことがあれば激しく落ち込んで体が鉛のように重くなったり、眠くなったりして、ひきこもりがちになります。事情がわからない人は、自己中心的で自分の都合だけを考えていると誤解してしまいます。

非定型うつの診断基準

大うつ病のエピソード、または気分変調性障害があり、下記の特徴がある場合、非定型うつ病と特定する。

気分反応性(好ましいことがあると気分がよくなる)がある
気分反応性があり、さらに次の症状のうち2つ以上がある
著しい体重増加、または過食
寝ても寝ても眠い(過眠)
手足に鉛が詰まったような重さ、激しい疲労感を感じる(鉛様麻痺)
批判に対して過敏になり、ひきこもる

大うつ病工ビソード

1日の大部分の時間、毎日のように気分が憂うつ
1日の大部分の時間、毎日のように何に対しても興味と喜びを感じない
体重の5%以上の増減が1ヶ月間にある。またはほとんど毎日食欲がないか、反対に亢進している
ほとんど毎日眠れない、あるいは寝すぎている
ほとんど毎日イライラしているか、何もやる気がない
ほとんど毎日疲れやすいか、または気力がない
自分に価値がないと感じたり、悪いことをしたと思う
思考力や集中力が落ちている、決断できない
死ぬことをしばしば考えたり、その計画を立てる

診断)
上記の1、2を必ず含む5つ以上に当てはまることが2週間の間にあり、異常に辛いか、日常生活に支障が出ている
アルコールや薬物中毒、内科の病気によるものではない
愛する人を失った後、2ヵ月以内ではない

感情が過敏になる病気 プライドを傷つけないよう配慮を

 「非定型うつ病は感情が過敏になる病気です。プライドを傷つけるような言葉には病的に激しく反応して、症状を悪化させるので、本人の気分が落ち着いたところを見計らって『傍からはこんなふうに見えますよ』と第三者的に客観的なアドバイスをするようにしましょう」と貝谷医師はアドバイスします。

非発作性愁訴の症状

 

定型うつ病

非定型うつ病


何ごとにも集中力、興味、やる気がない。 好きなこと、よいことがあると明るくなり、悪いことがあると強く落ち込む。

なかなか眠れず、夜中に目が覚めて眠れなくなる。 1日10時間以上寝る、またはベッドに横になっている。

食欲は低下し、体重も減る。 過食になる。
特に甘いものへの欲求が強くなり、体重も増加する。




朝から午前中にもっとも憂うつになる。 夕方から夜にかけて憂うつになる。
夜ひとりで泣くこともあり「夕暮れうつ病」と呼ばれる。

うつ病のはっきりした原因は解明されていません。しかし、生まれ持った性格、環境、発育過程の要因、体調などの要素のほかに、ストレスが大きな要因となっています。ただ、ストレスそのものではなく、ストレスの受け止め方にうつ病の発症が大きく関係しているようです。

非定型うつ病を悪化させる要因としては、昼夜逆転の生活、過食、インターネット依存などは健康を害して、ストレスを受けやすくしてしまいます。また飲酒、喫煙、カフェインを多く含むものなどは、不安感を強めてしまうので避けましょう。