脳の誤作動で警報が……それがパニック発作の原因?

パニック障害の治療はなるべく早くパニック発作を起こさないようにすること。ごくわずかな例外を除き、ほとんどのパニック発作は薬によって抑えることができます。医師の指示に従って薬による治療を続けることが症状改善につながります。

脳の警報装置の誤作動で神経伝達物質が過剰分泌

 パニック障害は、脳の警報装置が誤作動を起こし、それに感応して神経伝達物質が必要以上に分泌されて、危険な状態でもないのにパニック発作が起きてしまうことが関係しているといわれます。危険を察知して恐怖心を呼び起こすのは、大脳辺縁系の扁桃体で、ここから指令が出て、脳幹部の青斑核など、自律神経の中枢に伝わり、さらにここでノルアドレナリンが分泌されて、血圧を高め、心拍数を上げて、めまいや動悸なども起こします。

パニック障害に関係する神経伝達物質の役割

■アドレナリン
血圧や心拍数を高め、血糖値を上昇させて、交感神経に働いて、興奮や緊張を高める神経伝達物質です。

■ノルアドレナリン
不安や恐怖を感じたときに筋肉に血液を送り込んで心拍数を速くしたり、血圧を上昇させます。ノルアドレナリンが減ると意欲や集中力が低下します。

■セロトニン
不安を抑え平常心を保つように働く神経伝達物質で、これが不足するとイライラ、不安、睡眠障害などを引き起こします。

抗不安薬と抗うつ薬を併用する

 パニック障害の治療薬には、パニック発作を抑える抗不安薬と、抗うつ薬があります。2008年に作られたパニック障害の治療のガイドラインでは、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とベンゾジアゼピン系抗不安薬との併用で治療を開始することが推奨されています。SSRIは、不安を抑えて平常心を保つように働くセロトニンという神経伝達物質の量を減らさないように働く薬で、抗うつ薬のひとつです。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は興奮や不安をしずめるギャバという神経伝達物質の活性を高めて、パニック発作や予期不安を起こさないようにする効果があります。即効性がある薬で発作が起きたらすぐに服用する使い方もあります。
 症状がよくなってパニック発作が起きなくなっても自己判断で服用をやめたりせずに、医師の指示にしたがいましょう。

ギャバとベンゾジアゼビン

 ギャバは不安を抑えて沈静化する働きを持つ神経伝達物質で、ベンゾジアゼピンは不安や興奮を抑制してギャバの働きを高める神経伝達物質です。ギャバとベンゾジアゼピンの働きに問題があって、不安を起こしやすいことがパニック発作を引き起こしているという説もあります。