最近のうつ病と新しい抗うつ薬について 文化と生活様式の変化とともにうつ病の症状も変わってきている。旧来の、いわゆるメランコリー型うつ病は、他人配慮、八方美人、几帳面、仕事熱心な人に見られ、朝方抑うつ、早朝覚醒、食欲低下、過度の罪業感、時に自殺念慮があるのが特徴であるが、最近の若い人のうつ病はこれとは全く逆である。夕方から夜に悪化し、過食・過眠、激しい疲労感(鉛様麻痺)が特徴で、本来のうつ病は好ましいことがあっても全く気分がよくならないのに、このうつ病は好きなことにはよく活動できるという特徴がある。傍からは、勝手うつ病、お天気うつ病、おうちゃく者、怠け者と考えられてしまう。しかし、これもれっきとした病気で、本人の苦悩は並大抵ではない。われわれはこれを非定型うつ病と呼んでいる。疫学統計的には大うつ病の3割前後といわれているが、都市型うつ病の半数以上はこのタイプであろう。うつ病には励ましは禁忌とされているが、この種のうつ病には適当な激励(叱咤は禁忌)が大変重要である。
日本で未発売の抗うつ薬 |