ストレス講座 〜その13〜 強迫性障害 〜わかっちゃいるけどやめられない〜 早稲田大学人間科学部教授 強迫性障害(強迫神経症)とは、簡単に言いますと「わかっちゃいるけどやめられない症候群」です。自分でも不合理だと思いながら何回も繰り返すので本人にとっては大変つらい病気です。よくみられるものは、トイレに人った後何回も手を洗う、ドアの力ギをかけたかどうかガス栓をしめたかどうか何回も確認するというものです。本来これらの行為は清潔を保ったり安全を確保するためにだれでも行いますが、それが何回〜何十回も確認しないと気がすまない 強迫性障害の治療は、認知行動療法と薬物療法です。認知行動療法とは、「認知や行動の問題を合理的に解決するために構造化された治療法」で認知の歪みを修正する(考え方を変える)というものです。強迫性障害に対しては、「暴露反応妨害法(エクスポージャー)」といって、不安・恐怖場面に直面させながら不安反応をコントロールできるようにする治療法が用いられます。薬物療法としては、三環系抗うつ薬であるクロミプラミンが強迫性障害に有効であることが確認され、この病気の原因として神経伝達物質の一つであるセロトニンが考えられるようになりました。次いで、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)が登場し、これが第一選択薬の地位を占めることになりました。その他には、不安のレベルを下げるという意味で抗不安薬が併用されます。 ケ
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