ストレス講座 〜その20〜 ストレスと摂食障害 早稲田大学人間科学部教授 野村 忍
摂食障害とは何か? 摂食障害とは、神経性食欲不振症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の総称です。 両者は一応区別されていますが、ある時期に拒食であったものがその後過食へと移行する場合が約60〜70%見られ、本質的には共通の病態と考えられています。旧厚生省の研究班による神経性食欲不振症の診断基準を以下に説明します。
摂食障害の原因は? 摂食障害は、典型的には若い女性がやせようとして極端なダイエットして、その結果著しい体重減少をきたし、栄養失調、無月経、ホルモン異常などさまざまな症状を伴う病態です。以前は、視床下部ー下垂体系や中枢性摂食調節の機能異常によると考えられていましたが、最近の研究ではこれらの身体症状は、極端なやせ、低栄養状態に伴う二次的な変化と考えられています。 この病気は「神経性」という名前がつけられているように、心理的ストレスにより摂食行動の異常をきたした状態です。家庭、学校、職場、友人などの人間関係での悩みや自己実現、独立と依存の葛藤などの発達上の課題に対するとまどいから発症するケースが多いようです。精神分析の立場からは、成熟拒否、女性性の拒否、肥満恐怖そして幼児期への退行と理解されていました。行動論の立場からは、心理的なストレスに対する適切な対処をとることができずに、もっぱら摂食してやせることで対処していると考えられています。 摂食障害の治療法
おわりに 摂食障害の有病率は、若い女性では0.5〜3%と考えられています。病識に乏しいために自分で医療機関を受診することは少なく、治療への動機づけが難しい場合があります。摂食障害が心身に及ぼす悪影響について十分理解し、治療意欲を持ってもらうことが重要です。昨今のダイエットブームにのって、若い女性がダイエットを始めることは多いのですが、外面の美しさを追い求めるのではなく、内面の心の豊かさを取り戻したいものですね。
ケ セラ セラ<こころの季刊誌> VOL.41 2005 SUMMER
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