人の心はもとより善悪なし(道元)

 曹洞宗の開祖道元の「正法眼蔵随聞記」にある言葉です。この言葉は、「善悪は縁に随って起こる。……故に善縁に会えばよくなり、悪縁に近づけば悪くなるなり」と続きます。「人間は本来、汚れる以前のものである、人の心にはもともと善悪というものはない。善悪は縁によって起こる。したがって、善縁に出会うとよい方向に向かうし、悪縁に近づけば悪い方向に向かうものである」という意味です。「朱に交われば赤くなる」という言葉通り、わたくしたちは、善良な人、幸せな人、楽天的な人と付き合えば自分もそうなるのです。

(中野東禅著 人生の問題がすっと解決する名僧の一言 三笠書房より)

Que Sera Sera VOL.63 2011 WINTER