不安解消法コンテスト

 患者さんがそれぞれどのような不安解消法をお持ちか教えて頂きました。待合い室に投書箱をおき、10月31日までに26通の応募がありました。不安解消についての奇抜な方法、他の患者さんにも利用できる素晴らしい方法が多数提言されました。紙面を借りて御礼申し上げます。なごやメンタルクリニックの職員6名による5点満点評点の合計点の高かった4名の人の不安解消法をご紹介いたします。

1等

広場恐怖のないパニック障害の主婦

 手先を使う単純作業 − 編み物などを目的を持たずただひたすらに無意味に手を動かす。少し不謹慎かもしれないが、見知らぬ人の、できるだけ古いお墓をウオッチングして歩く。[oo童子」「xx信女 行年25歳」なんて刻まれた碑をみると、こんな弱虫なだめな私でもよくこの歳までそれなりに生きてきたなあとか、昔も今も人の命のはかなさは変わらないけれども、この人達にも不安や苦しみがあったんだなあなんて思われて、不思議に心が落ちつき、症状への不安に立ち向かっていける気力が湧いてきます。

2等

乗り物でのパニック発作の男性

 不安発作が起こる前兆として手足の冷汗、しびれ感、便意を催すので、そうなったら、深呼吸を繰り返しながら、手のひら、合谷(ごうこく 親指と人差し指の付け根)、指先と関節と爪を根気よく揉みほぐす。段々手が暖まってくると呼吸がゆっくり出来、温まった手で両耳を揉みほぐし暖めます。耳がホカホカする頃には不安は解消し、眠ってしまう。注意点として、暖めることに集中し不安なことをできるだけ考えない。心地よいツボを探しながら揉む。目を閉じ周囲の視線を気にしない。

3等

広場恐怖を伴うパニック障害、自宅から離れることに恐怖を持つ会社社長

 腹式呼吸をする。ブランディ−のポケット瓶を携行する。アンビエント系の静かな音楽を聞く。自分の部屋の写真家の写真を20枚持って歩いた(自分の部屋の雰囲気を持ち歩く)移動電話を持って不安になったら家族と話をして紛らわす。カ−・ナビで常に自分の位置を確かめると安心できる。

3等

パニック障害の若い女性

 長くても1時間ぐらいのパニック発作を恐れての不安に対して:岩舘先生の声を思い出して自律訓練をする。好きな香(ル−ムフレグランス、お香、アロマポット)を部屋に置く、香水(フロ−ラル系、パウダ−系)をつける。将来のことをクヨクヨ考えての不安に対して:部屋を柑橘系とハーブをミックスさせた香で充満させ、大声でその歌手そっくりに歌うかダンスをする。念入りに化粧して(その間に気分がそっちに集中してしまう)喫茶店へいく。勉強するか習字か花を生ける。中島みゆき、梶芽い子(恨み節)を聞いてどん底の自分に酔う。どんな不安の時も:貝谷先生の声と顔を思い出し”大丈夫”と唱える。バッティングセンタ−かオ−トテニスで、私はイチロ−、わたしはセレシュと思いこんで打ち込む。花を買いにいく。バリ島へいく。お菓子を作る。身近な人に私のどこが好きか10カ所言ってもらう、などなど。