図1 |
症例1 79歳, 女性。 〈主訴〉気分が落ち込む,食欲低下,不眠。 〈遺伝負因,身体的既往歴〉X年8月,胆石を指摘される。 〈生活歴〉中国地方に三子の第一子,長女として出生。元来,生真面目,完全主義,些細なことにこだわりやすい性格。高等小学校卒後,家事手伝い,26歳時に結婚し,専業主婦。X-7年,夫が死去,不安,不眠のため近医精神科を受診, etizolam を投薬されるも服用せず。その後,頭痛,不眠が一過性に出現し, etizolam を時々服用するようになる。夫の死後は一人暮らし。 〈病歴〉X-1年,6月頃より食欲低下,意欲低下,気力の喪失を自覚し,同年,9月中旬に上京し,長男一家と同居。S大学病院消化器内科を受診し,諸検査を施行するも異常は認められず。諸検査で異常なく, etizolam を処方される。次第に食事がとれるようになり,自宅に戻るが,再び上記症状が出現。10月中旬には再度上京し,長男一家と同居するようになる。ある程度食事はとれるようになるが,5kg/3ヵ月の体重減少,抑うつ気分,不安,不眠を認めたため,10月28日,S大学精神科を受診。薬物療法(sulpiride 100mg/day, clotiazepam 10mg/day, trazodone 25mg/day)にて軽快したため11月下旬には自宅に戻り,近医で治療を継続することとなるが,X年,8月頃より徐々に食欲の低下などが認められるようになり,11月に再び長男一家と同居することになり,11月7日,S大学精神科を再受診。 |