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  交遊抄 : 蘇る元気

 
明星電気社長 上沢 信彦

日本経済新聞2009年2月24日

 尾張の藩校を前身にもつ愛知県立明和高校は文武両道を奨励し、我が剣道部も強かった。昭和37年(1962年)卒業の貝谷久宣君は先鋒を担い、切り込み隊長として我が校を勝利に導く頼れる剣士だった。ともに二段で私は主将を務めた。

 卒業後、彼は医学の道に進み精神科医として医療法人和楽会の理事長を務める傍ら、日本のパニック障害研究の草分けの一人として忙しい日々を送っている。

 彼の患者向け機関誌に私の初恋の話が書がれていた。

 私の初恋相手が家族のことなどからふさぎこみ精神科にかかっていたが、私との子どものころの思い出を剣士仲間が伝えたところ、昔の出来事を懐かしく思い返し彼女は少しずつ元気を取り戻したという。

 貝谷君は「心からうつうつとした雰囲気を取り除けないときは青春時代に想ったり想ってくれたりした人を思い出してみよう。はつらつとした明るい気分が蘇ってくるでしょう」と結んでいる。ちなみにコラムのタイトルは「精神科医が不要になった話」だ。

 「社員の元気」をキーワードに経営をしている私にとって、年2回の集いでの彼の講話は何物にも代えがたい財産である。