ケセラセラ発刊 100号を記念して ~先生方からのご祝辞②~
和楽会認知行動療法センター所長
東京家政大学・東京家政大学大学院 教授 福井 至
ケセラセラ100号を祝して
ケセラセラ100号、まことにおめでとうございます。私が赤坂クリニックに臨床心理士として勤め始めたのは、平成14年4月からのことで、赤坂クリニック開院5年目からでした。その時には、すでにケセラセラ28号が発刊されており、毎号貝谷先生や医療法人和楽会関係の先生方の興味深い記事が書かれており、私も参考にさせていただき、また大学や大学院の授業などでも紹介させていただいてきました。
貝谷先生の「患者さんの悩みと苦悩を一刻も早くとることをモットーとし、患者さんとご家族に病気を理解してもらい、納得した治療とサポートをおこなう」という診療方針のもと、その一環としてケセラセラは発刊されています。また毎年、東京、横浜、名古屋で患者さんやご家族のための講演会も実施されています。このような、患者さんとご家族のためという、貝谷先生の医療への熱意と実行力を、いつも尊敬しております。
ところで、私は令和元年から医療法人和楽会の認知行動療法センター長をさせていただいております。医療法人和楽会では、認知行動療法センターの前身の東京サイバークリニックで、平成16年からバーチャル・リアリティー(VR)を用いた恐怖症の治療をわが国で最初におこなってきました。また、当初はアメリカ製のVRソフトを用いておりましたが、昨年からは株式会社魔法アプリと協力して、我が国独自のVRソフトの開発と臨床応用をおこなってきております。こういった認知行動療法センターの研究開発などについても、今後ケセラセラでご報告させていただこうと思います。
ここに100号への祝意を表すとともに、医療法人和楽会のさらなる発展を祈念します。
平成14年より赤坂クリニックカウンセリング
*赤坂クリニック 金曜日カウンセリング
東京大学医学部附属病院精神神経科
教授 笠井 清登
ケセラセラ100号記念、誠におめでとうございます。
毎号、患者さんへの精神療法的接近や、自分自身のセルフマネジメントのヒントのためにひそかに愛読させていただいているケセラセラ。創刊が1995年とお聞きして、日本の精神医学に対する和楽会の長年にわたる多大な貢献に、改めて思いをはせました。この年は私が研修医になった年ですが、まだ日本の大学ではICD-10が導入されたばかり、DSM-Ⅳの翻訳はまだ出ていない頃で、パニック症や社交不安症などはきちんと診断がなされず、「不安神経症」と大雑把に扱われていました。日本の臨床心理学にCBTはほとんど普及していませんでしたし、森田療法は過去のものとなっていました。SSRIもまだありませんでした。私がはじめて和楽会・横浜クリニックで貝谷先生の薫陶を受ける幸運に恵まれましたのは2004年、本当に目からうろこの連続でした。
これからの世界はどのようになっていくでしょうか。いつ起こるかわからない自然災害、高度に発展した現代医療でも制圧できず世界中を不安と生命の危機に陥れる感染症。資源や文明を追い求める方略は限界に達し、人類はサステイナビリティへの新たな知恵を求められています。名古屋、東京、横浜といった世界的な大都市に暮らし、日々苦悩の多い私たち。これからもケセラセラは、知恵と癒しを末永く届けてくださることでしょう。
平成16年より医療法人和楽会で毎週診察
*赤坂クリニック 月曜日診察