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マインドフルネスの臨床効果と脳科学⑩ マインドフルネス効果はどのようにして出るのか?(ケセラセラvol.104)

医療法人和楽会 理事長 貝谷久宣

今回はマインドフルネス訓練により不安やうつがどのような心理学的・脳科学的機序で軽減されていくのかという問題に取り組んでみます。

まず、マインドフルネス瞑想に際しての心構えについてみていきましょう(図1)。
マインドフルネス瞑想は今この一瞬一瞬に生じてくる身体感覚や思考、感情への気づきです。瞑想をしているとどうしても過去や未来のことを考えてしまいます。これでは“今”に気づくことにはなりません。ですから浮かんできた思考にとらわれずに“今この瞬間”に戻ります。要するにマインドフルネスは考えない練習でもあるわけです。マインドフルネスの最初のプロセスは次々に生じてくる感覚や思考、感情に気づくこと(Recognize)です。この行為は注意力を広く鋭くしなければなりません。そして生じてきた感覚や思考、感情に批判・評価を加えることなく(Nonjudgement)、ありのままに受け入れる(Accept)、そして、この生じてきたものが時間の経過とともにどのように変化していくかを観察するのです(Investigate)。このような態度はマインドフルネスの源流である仏教思想「諸行無常」や「諸法無我」に根差しています。

次に、マインドフルネスで改善される心的要素と脳機能との関係を見てみましょう(図2、3)。

マインドフルネスの気づきを鍛錬することにより前頭前野(人でのみ高度に発達した最高部位)・前帯状回および線条体が活発になり注意力が鋭くなっていきます。感覚や思考、感情を快・不快とか正・誤、好き嫌いの判断をすることなくありのままに受け入れる態度が養われると、前頭前野と辺縁系の情報交換がうまく進み感情のコントロールが出来るようになります。自我の中心である後帯状回/楔前部と自己意識の情動に関与する島皮質および最高管理中枢である内側前頭前野の連絡が緊密になると自己の客観視が出来るようになり、心理学的にいわゆる脱中心化(decentering)が生じます。この自己認識がさらに進んでいくといわゆる「無我」の境涯になっていきます。

図4は、189名の不安や抑うつの人を対象にして、マインドフルネス訓練前後の状態を5つの心理検査で調査した結果をパス解析したものです(参照:用語解説)。青い矢印の方向の状態は減少を、赤い矢印の方向の状態は増加することを意味しています。

これによりますと、抑うつはマインドフルネスによる反芻思考の減少と認知的再評価の増加により軽減されることが分かります。また、不安はマインドフルネスによる憂慮の減少と認知的再評価の増加により軽快することが示されています。この結果から、不安も抑うつも不要で有害な思考により生じ、それがマインドフルネスの考えない練習により治っていくということが出来ます。

万物の霊長である人が考えるということは、人の文明・文化を発展させると同時に人間を苦しめる源にもなってきたという誠に矛盾する現象が明らかになりました。

文献
Tang & Leve. Transl Behav Med. 2016; 6: 63.
Parmentier et al., Front Psychol. 2019; 10: 506

 

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