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アルツハイマー型認知症(ケセラセラvol.97)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 岸本智数

 

現在一般的に使用されている「認知症」という言葉は、dementiaという語に対する訳語です。この言葉の歴史的変遷は次の通りです。明治41年に東京帝国大学精神科の呉秀三教授が「老耄性癡呆」という言葉を提唱するまでは、「老耄性癡狂」という言葉が使用されていました。戦後は「老年痴呆」という言葉が使用されていましたが、2005年より現在の「認知症」が使用されることとなりました。また、元来「senile dementia」という言葉は、現在のように「老年期発症の認知症」すべてではなく、「老年期発症のアルツハイマー病」をさす言葉として使用されていました。そのため、近年では「認知症=アルツハイマー病」という誤りが広まっています。正確には「認知症」の中に、アルツハイマー病や血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。年齢による分類では日本認知症学会では、18~39歳での発症を若年期認知症、40~64歳での発症を初老期認知症、65歳以降の発症の場合は老年期認知症と定義しています。

1906年にドイツの精神科医アルツハイマー博士によって最初に初老期発症の疾患が報告され、1910年にクレペリンの精神医学の教科書にアルツハイマー病という名称が使用されました。アルツハイマー博士の報告した症例が初老期発症であったため当初は、高齢期発症の場合はアルツハイマー型老年痴呆として区別されていました。しかし、それぞれの病理所見が同一であることなどが判明したため、現在ではアルツハイマー病とアルツハイマー型認知症は同義の言葉として使用されています。

さらに、研究が進むにつれて、アルツハイマー病による症状が悪化して認知症を呈するまでの20年近くの間にはアルツハイマー病であっても症状がないか軽微である状態が存在することが判明しました。これにより、今後はアルツハイマー病という病理学的基盤を主体とした変化の最終段階としてアルツハイマー型認知症という状態となるという考え方が進んでいくと考えられています。

 

前回、認知症には様々な疾患が含まれますと述べましたが、報告により多少の違いはありますが、概ね図のように認知症の半数以上がアルツハイマー型認知症で、多い順に血管性認知症、レビー小体型認知症と続きます。図1

アルツハイマー型認知症では、原因不明で脳の神経細胞が減少し、老人斑、神経原繊維変化が多数沈着します。頭部MRIなどの脳画像では大脳の萎縮と脳室の拡大が特徴です。記憶障害から発症して、全般的な認知症へ進行していきます。見当識障害や人格変化が早期から起こるのが特徴です。アルツハイマー型認知症の最大のリスクは加齢ですが、疫学的データから他に発症リスクを上昇させる要因として、脳血管障害、2型糖尿病、高血圧、喫煙、肥満、頭部外傷などが挙げられています。一方、発症リスクを低下させる要因として、知的生活習慣、余暇活動、地中海食、肉体的活動などが挙げられています。脳に刺激を与える、外出や運動して体を動かす、バランスの良い食事を摂ることが、アルツハイマー型認知症のリスクを低下させるのです。ちなみに、地中海食の特徴は、果物や野菜を豊富に使用する、乳製品や肉より魚を多く使う、オリーブオイルや豆類など未精製の穀物をよく使う、食事と一緒に適量の赤ワインを飲むことです。2019年5月15日の時事通信社の報道によると、政府は、2025年までに70代の人口に占める認知症の人の割合を現状より6%減らすという数値目標を今夏に策定する認知症対策大綱に盛り込む方向だそうです。アルツハイマー型認知症の根本治療は未だ確立されていません。

今日からこれらを心がけることで、アルツハイマー型認知症に限らず、頭も体も長く健康で過ごしましょう。

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