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なかなかやる気が起きない時(その五) (ケセラセラvol.73)

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック院長
吉田 栄治

前回の一口コラムでアナウンスしましたように、「やらなきゃいけないことがあるのにできない、やめたいのにやめられない」といったことで悩んでおられる方に、なかなか参考になる本ということで、ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードの自分を変える教室』について、ご紹介したいと思います。
この本は十週間の講座を受講するような形で構成されており、序章から第九章まで全部で十個の章からなっていて(第十章はあとがきです)、それぞれの章で重要なポイントを一つ取り上げ、やる気を出すための戦略がいくつか提案されています。各章につき一つの戦略を選んで一週間かけて試してみることが勧められています。自分に合いそうなものを見つけて実践してみるわけです。
前回の一口コラムでも少し触れていますが、この手のハウツーものは、実際に行動に移さないと意味がありません。行動に移して実践していくことで、良い行動習慣というものは身についていくということです。気に入った戦略をメモしておいて毎日実践してみることが大事だと思います。
これから、私が気に入ったところをいくつか抜粋して簡単にご紹介させていただきますが、詳しく知りたいという方は、是非本を読んでみて下さい。
まず、意志力とは何かということが述べられます。それは「やる力」、「やらない力」、そして本当に自分がやりたい、なりたいと思っていることを「望む力」であるといったことが説明されます。そして自分が取り組みたい課題を一つ選ぶように言われます。私の場合は、やるべきことを先延ばししない(苦笑)…ということです。

意志力を向上するには
最初の数章で、意志力を向上させる戦略がいくつか挙げられています。一つ目は、「行動の選択をした瞬間をふり返って意識する」というものです。なかなかいいなと思い実践しています。課題を仕上げるのを後回しにしたくなった時に、今、自分は仕事を先延ばししようとしているということを意識することで、気持ちをもう一度立て直すことができます。
次に、意志力を鍛えるには瞑想が効果を発揮するということが、実際の研究結果を踏まえて紹介されています。5分間呼吸に意識を集中するだけの瞑想で効果が出るということです。最初は心の中で「吸って」…、「吐いて」…と言いながら、そして、慣れてきたら呼吸をしているときの感覚だけに集中してみるのだそうです。これを実践するだけで、集中力が高まるということです。また、呼吸のペースを1分間に4回から6回くらいにしてみる、特に、ゆっくりと完全に息を吐くことに意識を集中してみるよう推奨されます。そうすることで、脳と体をストレス状態(交感神経優位の状態)から、リラックスした状態(副交感神経優位の状態)にすることができ、この練習を毎日定期的に行えば、ストレスに強くなり、意志力も増えることが示されています。
定期的な運動(エクササイズ)も意志力の向上に効果があることが紹介されます。毎日続けることのできる5分程度のエクササイズでいいそうです。特に、屋外の自然にふれるグリーン・エクササイズが推奨されています。
そして睡眠の重要性が強調されています。1日少なくとも6時間の睡眠をとることが大事で、睡眠不足の状態が慢性化すると、ストレスや誘惑に負けやすくなってしまうことが説明されます。幸い昼寝をしたり一晩ぐっすり眠ることで集中力や自己コントロール力は回復するということです。

意志力を妨げるさまざまなワナ
第四章からは、どうして人は誘惑に負けてしまうのか、そのさまざまな要因が説明されます。まず「モラル・ライセンシング(罪のライセンス)」について指摘されます。これは少し良いことをすると、ちょっとくらい悪いことをしてもいいだろうと思ってしまう誰もが持っている心理のことです。「がんばったんだから、ちょっとくらいごほうびがなくちゃ」とみずから正当化して誘惑に負けてしまうのだそうです。私たちは誰でも少し進歩すると、それをいいことについサボりがちになってしまう。また「やることリスト」を完成させると、それだけで満足してしまって実際には何もしなかったりする。そういったワナにはまりそうなときは、なぜ自分は今がんばっているのかを思い出すことが大事だということです。自分の本当の目標を忘れないようにするということです。
同じようなワナで、「あとで取り返せばいい」と思ってしまうことがあげられています。人には「明日はもっとできる」と考える習性があって、明日になればきっと時間も余力もあって、今より簡単にできるはずだと思ってしまうのだそうです。これには私も思い当たることバンバンです。これに対する対策は「明日も同じ行動をする」と考えることだそうです。毎日同じ行動をすると決めることで、「今日はいいや」と考えてしまうことを予防できるわけです。

誘惑に負けてしまったとき
一度誘惑に負けてつまずいてしまうと、「どうにでもなれ効果」が生じて、もっとダメにしてしまうという話が、後半に出てきます。最初つまずいたときに、自分を恥じたり、責めたりすることで、この「どうにでもなれ効果」が生じてしまうという興味深い結果が示されます。自己批判は常にモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招くというわけです。これに対し、自分への思いやりを持って、「誰だって時には自分を甘やかせてしまうことがあるんだ」と失敗した自分を許し、事実をありのままに見つめられると、罪悪感が和らぎ、自制心が増して、良い結果が期待できることが紹介されています。ただしここで、「自分は変わるんだ」と決心しただけで、いい気持になってしまい、行動に移せない場合があることが注意されます。自分の決意を守るためにはどんな行動をとればよいか具体的に考えて、実行に移していくことが必要だと説かれます。
最後の章は「この章は読まないで」と題して、誘惑に負けまいとすればするほど、それがしたくなってしまうという人間の心理について述べられています。感情や欲求を押さえつけると逆効果になるということです。これに対処するには、「思考」を抑えつけず「行動」だけ自制するのだそうです。チョコレートを食べたい気持ちをムリに打ち消そうとしないで、チョコが食べたくなったことを素直に認め、チョコについて思ったことや感じたことをすべて受け入れる、ただし、行動はコントロールするのだそうです。
最後にマクゴニガルは、自己コントロールを強化するための秘訣があるとすれば、それは注意を向けること…すなわち、行動を選択すべき時はそれをしっかりと意識して…自分の中の欲求を静かに見つめること、と述べています。
本には、他にもいろいろ興味深い例や戦略が書かれています。面白そうだなと思われた方は、どうぞ読んでみてください。そして、いくつか自分で実践してみて、効果を確認してみてください。

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