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前頭側頭葉変性症 frontotemporal lobar degeneration(FTLD)(ケセラセラvol.105 岸本智数)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 岸本智数

今回は、報告によりかなり幅がありますが認知症の中で1%程度と言われている、前頭側頭葉変性症を紹介します。
前頭側頭葉変性症 frontotemporal lobar degene-ration(FTLD)は、前頭葉と側頭葉の脳委縮を特徴とする神経変性疾患で、ゆっくりと進行します。有効な根本的治療法はありません。FTLDで見られる症状は様々で、行動異常を中核症状とする前頭側頭型認知症 frontotemporal dementia(FTD)、失語などの言語障害を中核症状とする進行性非流暢性失語 progressive nonfluent aphasia(PNFA)や意味性認知症 semantic dementia(SD)など多彩です。
さらに、認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral screrosis with dementia(ALS-D)なども見られます。
精神症状が強い場合は精神科を受診することも多く、運動障害や筋萎縮などを認める場合には神経内科を受診することもあります。そのせいか前に勤務していた、おうばく病院で認知症で初診される方のなかで、前頭側頭型認知症(FTD)の方は、その傾向がある人も含めると1%より多い印象でした。

行動異常を中核症状とする前頭側頭型認知症(FTD)は主として初老期に発症し、その症状には次のような特徴があります。
脱抑制、無関心、他者への共感性の欠如、常同行動、時刻表的生活、滞続言語、食行動の変化、病識の欠如、被影響性の亢進、注意の維持困難、そして認知機能障害です。脱抑制とは、衝動や感情を抑えられない状態で、衝動的に反応したり、欲求の制御ができずに本能におもむくままの行動につながります。例えば割り込みなどのマナー違反や、万引きなどの違法行為です。
無関心は初期からみられる症状で、自発的な行動が減り、身だしなみに無頓着になり、他者に話しかけなくなっていきます。
他者への共感性が欠如すると、同情したり他者の気持ちを汲み取って行動することが出来なくなり、病気で苦しんでいる家族をほったらかしにして遊びに出かけたりします。
常同行動は同じ動作を繰り返したり、同じ服を着たり同じ場所の同じ椅子に座るなどの特定の行動を繰り返します。これが、毎日決まった時間に決まったことをスケジュール通りに行う、まるで時刻表に従ったような行動につながることがあります。
滞続言語は同じ内容や語句を繰り返すことで、どんな質問にも自分の生年月日を答えたり、「頭がダメになった、何も分からなくなった」など繰り返します。
初期から、甘い食べ物や味付けの濃い物を好むようになるといった嗜好の変化や大食がみられたり、病識に乏しくなります。
被影響性は周りの人が立ち上がるとつられて立ち上がる模倣行為や、看板やポスターなど目に入った文字を読み上げる強迫的音読、相手の言葉をオウム返しする、目の前の物を支持なしに使用してしまうなどとして表れます。
注意の障害により、1つのことに集中し続けることが困難となり、心理検査や脳画像検査が難しい場合もあります。
認知機能においては、遂行機能が障害されることで先の見通しが悪くなり、自分の行動が及ぼす影響が予想できず短絡的な行動につながると考えられています。また、抽象的な思考も障害され、ことわざの意味を字義通りに解釈したり、発話量の減少や内容の簡素化が見られます。一方で、記憶や視空間認知はある程度進行するまで保たれることが多いです。

進行性非流暢性失語(PNFA)では、文字通り失語症状がみられます。
症状にはかなり幅があり、単に発話量の低下がみられるのみならず、努力性の発話、構音の障害(口や喉のバランスが乱れて呂律困難や声の出しづらさを生じます)、語句の短縮、韻律(抑揚や音調、強勢、音長、リズムなど)の障害などもみられます。
複雑な構文の理解は障害されますが、単語の理解や対象の知識は保たれることが多いと言われています。認知機能については病初期には低下が少ないですが、口部顔面失行を伴うことが多いです。例えば、「咳をしてください」という指示に実際の咳ではなく「ゴホン」という音声による表現になることがよくあります。

意味性認知症(SD)では、言語の障害、慣用句の障害、道具使用の障害、生物知識の障害、ジェスチャーの理解障害、相貌同定障害、行動障害がみられます。
言語の障害では、物の名前が言えないだけでなく、複数の物品から指示された物を指すことができません。
また、ヒントが無効であることが多く、例えば「えんぴつ」を答えてもらう際に、「えんぴ」までヒントを伝えても答えられなかったり、「えんぴつ」と答えを言ってもそれが何であるのか分からず、「えんぴつって何ですか?」と復唱はできますが、復唱した言葉がどういうものかが分かりません。
もう1つの特徴はひらがなでは問題ないのに漢字では特異な障害を示すことです。意味によって読み方が変わる漢字で障害が出やすいと考えられています。例えば、「時計」を「じけい」と読んだり、「電車」を「電者」と書いたり、「土産」を「みやげ」と読めなかったりします。慣用句の障害では、「早起きは三文の徳」のようななじみのあることわざでも、「早起きは三文の」まで提示しても完成させられません。
身近な物品は使えますが、あまりなじみのないコルク抜きなどの物品が使えなくなります。道具だけでなく、果物や野菜、動物などの知識も失われます。「さようなら」などのジェスチャーができず、逆にそのジェスチャーをやってみせてもその意味が分かりません。
病初期は人の名前が出てこず、徐々に顔を見てもだれか分からなくなり、進行すると身近な人なのか有名人なのかも分からなくなります。常同行動や食行動異常などが早期からみられます。

参考書
認知症ハンドブック 医学書院
認知症 最新医学社

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