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甲状腺の話(ケセラセラvol.75)

医療法人和楽会 横浜クリニック院長 工藤 耕太郎

甲状腺という臓器の名前を聞いたことのない人も多いと思います。甲状腺はのどぼとけの少し下にある臓器で甲状腺ホルモンというホルモンを分泌しています。

甲状腺ホルモンの役割は、熱を上げる、食欲を後進させる、心拍数を上げる、代謝を亢進させるといったところが代表的なものですが、精神症状にも影響を与えることが知られています。甲状腺ホルモンにより、精神的に活発な活動が可能になります。

さて、甲状腺機能低下症という病気があります。なんらかの原因により甲状腺の機能が下がり、甲状腺ホルモンの血中濃度が低下してしまいます。この病気も精神科の臨床に大きな影響を与えます。なぜならば、甲状腺の機能が低下した場合、食欲不振、低活動、過眠、低体温、心拍数の低下、血圧の低下といった症状が出現するからです。甲状腺機能低下の症状はうつ病と一致するものがあるのです。問診だけではうつ病と区別がつかないこともしばしばあります。

それでは、甲状腺機能低下症はどのような検査をすればよいのでしょうか?

概ねのところは採血でわかります。脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモンそのものを測定することはできます。ただ、このような一般的な採血を行った後、少しでも甲状腺の機能の異常が疑われたら、何回かの再検査(採血)が必要になる場合が多いと思います。というのは、甲状腺機能低下症の代表ともいえる橋本病という病気では、甲状腺ホルモンが変動を繰り返すのが特徴とされているからです。精神症状の経過で言えば、元気な時期と元気でない時期を繰り返すことがしばしばみられるのです。うつ病と考え、抗うつ薬を処方すると、あたかもそれでよくなった後、再発したかのように見えます。従って、疑わしい場合は何回か採血をすることにより精神症状の変化に合わせて甲状腺ホルモンが変動していることを証明する必要が出てくることがあります。

甲状腺の病気とうつ病の区別は問診では不可能な場合もあります。したがって、うつ病が疑われた場合、まず甲状腺ホルモンなどの採血が必要になります。

話しは変わりますが、甲状腺ホルモンをうつ病の患者さんに処方する場合があります。抗うつ薬の増強療法と呼ばれる治療です。抗うつ薬のみで、完全に症状が消失しない場合、甲状ホルモンの処方を加えることにより20%ほどの患者さんの症状が完全消失することが知られています。この場合も、甲状腺ホルモンの血液中の濃度が低めの患者さんの方が効果を出しやすいと言われており、やはり採血は必要になります。

受診中の患者さんで採血をまだ行っていない方は、ぜひ一度おっしゃってください。

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