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伝え方で結果が変わる(ケセラセラ vol.79 冬)

医療法人 和楽会 赤坂クリニック院長 吉田 栄治

 

土曜日は月に数回、近郊の総合病院に産業医としてメンタルヘルスケアの仕事に行っているのですが、車で通勤していまして、カーラジオを聴きながら行くのが密かな楽しみになっています。なかに、今話題になっている著者や各界で活躍する人が登場するトーク番組があるのですが(木村達也 ビジネスの森 8時15分~35分)、いつも面白く聴いています。その番組で、しばらく前に『伝え方が9割』という本の著者である佐々木圭一さんがゲストで呼ばれ、この本の紹介をしていました。なかなか興味深いお話でした。

 
佐々木さんはコミュニケーションが昔から苦手で、理数系の大学に進学して機械工学を勉強していたそうですが、コミュニケーションが上手になりたいと思って広告会社に入社したそうです。そうしたところ、何の間違いか、こともあろうにコピーライターとして配属されてしまい、大変苦労されたんだそうです。しかし、そんな中からいろいろなノウハウを発見していき、今回の本を書くきっかけになったとのことでした。


面白いなと思ったのは、「ノー」を「イエス」に変える技術というお話です。3つのステップがあるということから話は始まりました。
まず第1のステップは「自分の頭の中をそのままコトバにしない、頭で思ったことをそのまま口にするのはやめる」でした。普通であれば、うまく自分の気持ちを相手に伝えられないという人は、率直に自分の気持ちを表に出せるようになればいいと思うのですが、そうではないという逆説からお話が始まり、ほほうとまず感じました。例えば、デートしたいなと思っている相手がいたとして、直接「僕とデートしてください」と伝えたのでは、断られる確率大というわけです。

 
そこで第2のステップは「相手が普段どんなことを考えているのか、相手の頭の中を想像する」です。そのままこちらのお願いを伝えたとして相手がどう思うかを想像する、また、相手は何が好きか?何がキライか?どんな性格か?わかりうる相手の基本的な情報を思い出してみるのだそうです。例えばここで「はじめてのものが好き」「食べ物はイタリアンが好物」という情報があったとしたら?

 
第3のステップは「相手のメリットと一致するお願いをつくる」です。このデートの誘いの場合は、「驚くほどおいしいパスタの店があるんだけど、行かない?」となるんだそうです。あえてデートという言葉は出さないで、結果的には、このほうが「イエス」の返事をもらえて、パスタの店にデートできる確率が格段に上がりますよということですね。
何やら単にテクニック的な話に聞こえるところもありますが、要は「真摯に相手のメリットになることを考えるということ」が大事なポイントなんでしょうね。お願いが自分のメリットにしかなっていない時には、なかなか相手は快く「イエス」とは言ってくれないということです。そして相手のメリットを考えるということは、自己主張だけの自己表現ではなく、「自分も相手も大切にした自己表現」ということなんだろうなと思います。
早速『伝え方が9割』というこの本を買って読んでみましたら、この相手のメリットを考えるという大事なポイントをつかむのに、いくつかの切り口があることが紹介されていました。まずはここで述べました相手の好きなことからお願いをつくるということ。他には嫌いなこと回避(「芝生に入らないで」とこちらのメリットだけを主張するのではなく、「芝生に入ると農薬の臭いがつきます」と掲示することで、芝生に入らないようにしてもらうことが相手のメリットになる)であるとか、選択の自由(「A案とB案がありますが、どちらがよろしいですか?」と言うことで、相手が自分で選ぶことができるというメリットに)、認められたい欲に働きかける、あなた限定、チームワーク化(子供に対して一方的に「勉強しなさい」ではなく、「いっしょに勉強しよう」と提案し、誰かといっしょに何かをやりたいという気持ちに働きかける)などがあって、そして最終手段にして最大の方法は、相手への感謝ということでした(感謝されるという最大のメリット)。
もっと詳しく見てみたいという方は、どうぞこの本を読んでみてください。第1章は著者がどのようにしてこういった「伝え方の技術」を発見していったかという長い前置きですので、ここは飛ばして、第2章の「ノー」を「イエス」に変える技術から読まれたらよいと思います。そして第3章は、人を感動させる「強いコトバ」をつくる技術について書いてあり、サプライズ法(驚いた時のコトバを入れる、「そうだ!~行こう」)であるとか、ギャップ法(正反対のコトバを入れてギャップをつくる、「~は嫌いになっても~は嫌いにならないでください」)などが紹介してありました。

 
考えてみますと、この伝え方を変えてみましょうという助言は、診療の中でしばしばやっています。例えば、亭主関白なご主人で家のことを何もやってくれないということでストレスをためてしまわれる奥さんが時々おられます。大概、ご主人に不満をぶつけて夫婦関係をさらに悪化させてしまい体調を崩してしまうという悪循環に陥る場合が多いです。そういう場合、ご主人に何か頼むときには父性本能をくすぐるように(相手のメリットですね)してみましょうと助言することがあります。例えば少し甘えた感じで「今日は具合が悪くて洗い物とかしてくれると助かるんだけどな」というように。それでも頑固なご主人は、そうそう簡単に手伝ってくれるものではありませんから、そういう時は、いやな顔をせず「あなたも疲れているのね。それじゃしょうがないわね、頑張ってやるわ」とさっと身を引いて、しおらしく洗い物をする。決して不満をぶつけないで、そのアプローチを繰り返していく。そうするとご主人の中に、ちょっとやってあげないと大変かと思ってくれる気持ちがやがて生まれて、手伝ってくれるようになる可能性がありますよと話しています。そしてご主人が嫌々でもやってくれた時には大いに感謝する。不平たらたら文句しいしいという場合も多く、大抵の方は、そんなに嫌々手伝うんなら気分が悪いからやらなくてもいい!と言って怒ってしまわれるのですが、そうすると元の木阿弥ですから、嫌々でも手伝ってくれた時は、大いに感謝したほうがいいです。「あなたも疲れていたと思うけど、本当に助かったわ。本当にあなたは頼りになるわ」くらいに感謝するのがいいですね。
おっと…、こんな記事を書いて、うちの奥さんにもこれを実践されてしまうと、私も家事手伝いをいろいろとさせられることになってしまいそうですね。まあそんなときは「今日は具合が悪いようだったら、洗い物は明日にすればいいよ」と相手の身体を気遣いながら逃げてしまうという手もありますが…、今時は、「ダメよ、ダメダメ、今日洗わなきゃダメ」と切り返されてしまいますかね。

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