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アスリート、IBSと不安症治療(ケセラセラ2025年1月号 vol.131)

医療法人和楽会 横浜クリニック
院長 境洋二郎

条件付けされた不安の軽減に、エクスポージャー(曝露療法)を中心とした認知行動療法が有効です。2024年12月7日・8日に開催された日本心療内科学会での、アスリートが大会本番で力を出せるようになった過程や、消化器系心身症の代表疾患である過敏性腸症候群(IBS)の心身医学的治療についての発表の中で、パニック症、広場恐怖症、社交不安症などの不安症の治療とも通ずるものがありました。

学会特別企画の対談にて、長野オリンピックスピードスケート金メダリストである清水宏保さんが登壇され、「アスリートとストレス」についてお話されました。
元来、緊張しやすく、コミュニケーションは苦手で、試合でのプレッシャーを強く感じるタイプだったそうです。それを克服しようと、人に見せるプロフェッショナルであるアーティストのコンサートや舞台を実際に見に行き参考にされたそうです。試合当日に観客席の高いところからスケートリンクを見回したり、カメラからの目線を確認したりするルーティーンを行い、メンタルリハーサールをして、試合場面に慣らしていったそうです。
トップアスリートは、レース本番では考えて動くのみでなく無意識的に動けるよう、色々な方法で筋肉に覚え込ませるトレーニングを反復するそうです。落ち込むことも当然あるそうですが、大成功している選手でも過去に多くの失敗を積み重ねている中での成功であることを考え、自身の過去・現在・未来と照らし合わせ、自らを励まし鼓舞し、スランプ時には、「止まった時こそ、次の成功のチャンス」と考えるそうです。
周りから応援される環境が、最高のパフォーマンス、そして結果にもつながったと複数のオリンピック参加経験からお話されました。

また、心身症の代表的疾患である、腹痛・便通異常症状を来たすIBSの心身医学的治療のエビデンスをテーマにしたシンポジウムにて、認知行動療法が有効であることが発表されました。
その中でも内部感覚曝露を中心に、症状への恐れ・不安、腹部症状への注意集中、痛みに関する破局的思考などについての修正、「脳と体に新しい考え方を学ぶこと」が効果につながります。社交不安症や広場恐怖症の併存が多いIBSですが、腹部症状についての身体感覚の認知変容や対処行動の向上を得ることが、症状の軽減、生活の質の改善に役立ちます。

つまり、スポーツの試合やIBSの身体症状においても、状況や疾患についての知識を持ち、狭い視野にとらわれ過ぎず多角的に考えること、事前に準備し、上手く行かないことや一時的な悪化があっても過度に落ち込まないこと、周りからの支援にも支えられ、緊張場面や身体症状に繰り返し慣らしていくということが、試合のパフォーマンスや症状軽減に役立ち、実はこれらは不安症治療と共通していることが分かります。

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