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双極性障害について(1)(ケセラセラvol.82)

医療法人 和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

「うつ」が出現する疾患には色々ありますが、代表的なものに、うつ病、双極性障害などの気分障害があります。

今回は主に双極性障害についてご説明します。

 

【双極性障害の症状】

「うつ」の症状以外に、時々テンションが高くなる「躁」の時期も出現し、「躁」と「うつ」を繰り返す疾患が双極性障害です。重度の躁状態が出現するために社会的・職業的に著しい障害が生じ、入院が必要になることもある双極Ⅰ型障害と、社会的・職業的に著しい障害を起こさない程度の軽い躁状態(軽躁状態)が出現する双極Ⅱ型障害があります。以前「躁うつ病」と呼ばれてい
た疾患は、双極Ⅰ型障害とほぼ同じと考えてよいでしょう。

躁状態では、気分が高揚したり、イライラした気分で怒りっぽくなったりします。活動性や活力も増加します。具体的な症状は(以下に挙げるのは例であり、必ずしもすべての症状が現れるわけではありません)、気分が良い、ハイな感じ、物事を楽観的にとらえる、よく笑う、普段よりも自分が優れた人間に思える、過大な自信を持つ、動きが活発になる、いろいろなことに手を出す、睡眠時間が短くても平気になる、口数が多くなる・早口になる、次々にアイデアがわく・頭の回転が速くなる、注意が散漫になる、社交性・性欲・仕事量・勉強量などが増える、買い物のし過ぎ・性的逸脱・無謀な投資など後で痛みを伴う結果を招く可能性の高い活動に熱中する、などです。他の人がまどろっこしく見えたり、ちょっとした行き違いで怒り、周囲の人たちとの軋轢・衝突が生じることもあります。

DSM -5診断基準(米国精神医学会診断ガイドラインの最新バージョン)では、躁状態が1週間以上続くか入院治療が必要になる場合双極Ⅰ型障害と診断し、軽躁状態が4日間以上持続する場合双極Ⅱ型障害と診断します。特に軽躁状態は「社会生活に著しい障害が生じない程度」の比較的軽い気分の高揚ですので、持続日数の短いものまで含めると、嬉しい出来事があって一時的に気分が高まるという普通の反応を生じた人まで双極性障害と診断されてしまいます。それを防ぐために「4日間」で線引きをしているのです。しかし、これも前回取り上げた「気分の落ち込みが2週間以上続く」といううつ病の診断基準と同様、3日間でも5日間でもなく、なぜ4日間かという明確な根拠に乏しいようです。

 

【単極性うつ病と双極性うつ病】

「うつ」のみが出現し、躁状態になることがないものを単極性うつ病と呼び、双極性障害で「うつ」になった場合を双極性うつ病と呼ぶことがあります。単極性うつ病も双極性うつ病も、「うつ」の症状自体に大きな違いはないため、「うつ」の期間に現れる症状のみでは区別が困難です。

しかし、単極性うつ病の場合は抗うつ薬が薬物治療の中心ですが、双極性うつ病の場合は抗うつ薬だけを使っていると気分の波がおさまらなかったり、不安・焦燥感、パニック発作、不眠、イライラ・過敏性、などを伴う「賦活症候群」という副作用が出現するリスクが高まる可能性があります。気分安定薬(いわゆる「精神安定剤」と一般に呼ばれることが多い抗不安薬とは異なる、双極性障害の治療薬の総称)を中心にした治療が必要である場合が多いのです。従って単極性うつ病か双極性うつ病かをきちんと区別して診断するのは大変重要なことです。

 

【双極Ⅱ型障害の診断はしばしば困難】

双極性障害(特に双極Ⅱ型障害)を早期に診断するのはしばしば困難とされています。海外の研究では、双極性障害が発症してから双極性障害という診断を得て適切な治療を受けるまでに平均10年以上が経過しているという報告や、双極性障害の約70%は誤診を受けた経験があり、半数以上は単極性うつ病という診断だったとの報告もあります。

双極性障害の全経過期間のうち「うつ」が半分以上の期間を占め、軽躁状態は数%を占めるに過ぎないことや、双極性障害でも最初に出現する気分の変化は「うつ」であることが多いことなどが診断を難しくしています。最初に「うつ」になった時に病院を受診すると、多くは「(単極性)うつ病」という診断になります。その後躁/軽躁状態に気付かれて初めて双極性障害と診断されるのです。

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