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双極性障害について(2)(ケセラセラvol.83)

医療法人 和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

さらに、躁/軽躁状態は一度出現すれば容易に把握できそうですが、これが難しい場合があります。特に軽躁状態は、「社会生活や業務上の大きな支障を生じない程度の軽い躁状態」で、ご本人は気分が良く、自信満々で、頭の回転も速く、仕事・遊びなど様々な活動を長時間精力的にこなせるため、「元気で調子が良い」あるいは「普通の、本来の状態」としか感じていないことがあります。実際、仕事・学業を普段より効率的にこなせ、生産的になることもあります。家族や同僚も、本人がしばしば睡眠を減らしてまで頑張るため体を壊さないか心配にはなるものの、「仕事に没頭できる、乗っている状態」と捉えていることがあります。「元気で張り切って仕事に没頭すると病気なの?」と疑問を抱く方もおられると思います。「元気」が続けば問題ありませんが、双極性障害の場合やがて「うつ」となり、その後は軽躁と「うつ」を繰り返し、休職を繰り返すなどするため、治療が必要となります。軽躁状態は見逃されやすいのですが、「うつ」は本人が辛く感じ、自覚しやすいので、本人・ご家族ともに「『うつ』を繰り返している」とだけ捉えていることがあります。「どうしてあんなに元気な人なのに時々仕事に来られなくなるのだろう」「いつも無理して頑張りすぎてはダウンしてしまう」と受け取られている場合もあります。「無理した後にダウン」しても、何とか出勤を継続できる程度や数日間の有給休暇の取得で回復する程度であれば社会生活上大きな問題にはならないでしょうが、数週間以上出勤できず、それを繰り返すようになると「通常の気分の落ち込み」とは言えなくなります。


DSM ?Ⅳ診断基準(DSM?5より一つ前のバージョン)では、抗うつ薬などの薬剤投与により躁/軽躁状態が出現しても双極性障害とは診断しない(それは薬により誘導されたもので、双極性障害とは異なるという考え方、従って双極性障害として治療しない方が良い、ということ)とされていましたが、DSM ?5では「薬剤の生理作用を超えて継続する場合」との条件付きですが、双極性障害と診断されることになりました。抗うつ薬など使用中に躁/軽躁状態が出現した場合、単極性うつ病としてより、双極性うつ病として診療したほうが適切という研究結果が蓄積されてきたためと思われます。

ただし、双極性うつ病に関しては、今でも学会・専門誌などで「過少診断されている(見逃されて「単極性うつ病」と診断されている人が多い)」という主張と「過剰診断されている(本当は単極性なのに、双極性と診断されている人が多い)」という主張が議論されています。現時点では、単極性うつ病と双極性うつ病双方の可能性を常に念頭に入れ、丁寧かつ熟練した病歴聴取により、慎重に見分けることが重要と言えます。

 

【混合状態】

双極性障害では、「躁/軽躁状態」と「うつ状態」のほか、混合状態という症状が出現することがあります。これは、躁とうつの症状が同時に現れるものです。「正反対のはずの躁とうつが同時に現れるとはどういうこと?」と思われるかもしれません。例えば、思考は躁状態のように次々と考えがわき、活動性も高いためじっとしていられないと感じるのですが、気分は「うつ」なので、「様々な考えは浮かぶが気分は憂うつなのでネガティブな思考で頭がいっぱいになり落ち着かない」という状態になります。気分が不安定で怒りっぽさ・イライラなどを伴うこともあり、しばしば周囲との軋轢も生じやすくなります。混合状態ではご本人は大変つらく感じています。最初は単極性うつ病と診断されていても、混合状態が出現する場合、将来双極性障害に診断が変更になる(はっきりとした躁/軽躁状態が後に出現する)可能性が高いことが知られています。混合状態では治療に抗うつ薬を使うとかえって症状を悪化させることがあり、双極性障害の治療薬である気分安定薬や非定型抗精神病薬が有効とされています。

 

【非定型うつ病、季節性感情障害】

このほか、上記の「普通の」うつ病とは異なり、睡眠時間が長くなる、食べすぎたり体重が増加したりする、倦怠感が強く、脚や腕が鉛のように重く感じられる、好ましい出来事があるとそれに反応して気分が良くなる(気分が状況に左右されやすい)、などの特徴を持つうつ病もあります。相手から拒絶・批判されることに対し敏感で、精神的に崩れやすく対人関係が不安定になる、すぐに仕事をやめる、過度に薬物を使用する、人間関係を回避する、などの反応を生じることもあります。「定型的、典型的なうつ病とは症状が違う」という意味で非定型うつ病といいます。

毎年同じ季節に気分障害の症状が出現(大抵は冬に「うつ」が出現し、夏になると回復ないし軽躁状態が出現する)するものを季節性感情障害といいます。季節性感情障害の「うつ」でも、睡眠時間の延長・過食・体重増加・炭水化物や甘いものを食べたいという渇望など、定型的なうつ病とは異なる症状が出現することがあります。

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