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朝ドラ「とと姉ちゃん」(ケセラセラvol.84)

医療法人 和楽会 赤坂クリニック 院長 吉田 栄治

 

アドラー心理学について書かれた 『嫌われる勇気』 という本の紹介を、昨年のケセラセラ春号から始めて、2回ほどで終わるつもりが、1年がかりになってしまい、今回、その4ということで、ようやく最終回のはずだったのですが、少々最後がまとまりきらなかったので、その4については次回ということにしまして、今回は、ちょっと別の話題について書くことにしました。今回は2014年秋号に書きました「花子とアン」に続いて、またまたNHKの朝ドラネタです。

朝は大体、パンとコーヒーで朝食をとりながらニュース番組を見て、8時50分頃に家を出るのですが、ここ数年は気に入ったときは、朝ドラを見ています。最近は、「ゲゲゲの女房」、「花子とアン」、「あさが来た」に、はまりました。「あまちゃん」、「マッサン」、「まれ」はパスしました。

今回の「とと姉ちゃん」は初回からはまっています。物語は、戦後「暮らしの手帖」を創刊する女性編集者をモデルにした常子をヒロインに、昭和5年に始まります。常子(10歳)、鞠子(9歳)、美子(4歳)の3人姉妹がいつも元気に走っていて、とてもかわいいし、西島秀俊が演じるお父さん(竹蔵)がまたとってもいいんです。いつも穏やかで娘たちが何か悪さをしても頭ごなしに怒ったりしない。静かに「どうしてこんなことをしたんですか?」とちゃんと理由を聞く。ちゃんと聞いてくれるお父さんだから子供たちも正直に本当のことを言える。また、このお父さん(とと)とお母さん(かか)は、普段から子供にも「おはようございます」 「~です」 「~ます」 と丁寧語です。子供たちも自然と丁寧語で話しますが、全く堅苦しいところはなく、明るくとても品のいい家族でほのぼのとしてきます。

そんな家族に、第二話で事件が起きます。父親のお得意先の専務が持ってきたピカッツァ(ピカソをもじってますね)の絵に美子が落書きをしてしまい、それを修復しようとした鞠子と常子がさらにひどいものにしてしまいます。この状況ではさすがに「なんていうことをしたんだ!」と怒ってしまうだろう、と思いきや、竹蔵は深刻にはなるものの「どうしてこんなことになったんですか?」と3人にちゃんと事情を聞きます。娘たちも長女から次女、三女と順番に「私のせいです」「私のせいです」「私のせいです」と正直に答えます。そして墨でいたずら書きしてしまった三女の理由を聞いて、そもそもの原因が自分にあったことを理解した竹蔵は「安心してください。ととが責任を取りますから」と毅然と応えます。結局、絵は模造品だったということで事なきを得ますが、実にかっこいいお父さんでした。

 

子供たちに、どうしてここまで丁寧に接することができるのだろうか、どうしてここまで怒らないでいられるのだろうかと、少し不思議に感じていたのですが、第三話で向井理が演じる竹蔵の弟、常子の叔父にあたる鉄郎から、その理由が語られます。鉄郎が以前、「兄貴は子供たちを甘やかしすぎなんじゃないか、威厳も何もないだろう」と意見をしたところ、竹蔵は次のように話したというのです。

「威厳なんて僕には必要ない。親父とおふくろを早くに亡くして、自分たち兄弟は親戚の家をたらい回しにされたが、あのころは、どこの家の父親もいばりちらして、家族を従わせていた。しかし自分にはそれが幸せには見えなかった。従わされている家族も、従わせている父親も。だから、僕は相手が自分の子供たちだとしても、一人の人間として対等に接したいと思っているんだ」と。

叔父の鉄郎は、常子たちに言います。「兄貴は大切にしてるんだと思うよ。とと(・・)と、かかと、娘たちで過ごす時間をさ」と。そして、この第3話の終わりのところで竹蔵は「当たり前にある毎日でも、それは、とっても大切な一瞬の積み重ねだと思っています。当たり前にある日常は、かけがえのないものですから」と語ります。

この竹蔵の信念を聞いたときに、アドラーの考え方そのものだなと感じました。NHKさん、Eテレの「100分de名著」という番組でアドラーを取り上げていましたが、意識してかしないでかまさにアドラーの考え方がここに示されていました。アドラーは教育論において「叱っても、ほめてもいけない。どちらも上下関係―“縦の関係”に基づいて相手を操作しようとするものだからである。人にはそれぞれの役割があるわけだが、『同じではないけれど対等』という“横の関係”を築いていかなければならない、それは親子においてもである。“横の関係”に基づいて援助していく、それが『勇気づけ』である」といったことを主張し、さらに「特別である必要はなく、普通であることの勇気を持て。人生は連続する刹那であり、今この瞬間を真剣に生きよ」と言っているのですが、竹蔵はまさにこの考え方を、自分の体験から学んで実践しているなあと感じました。

 

この竹蔵は1週目で早くも結核に倒れて亡くなってしまいます。朝からうるうるしてしまいました。このとき常子は竹蔵と「ととの代わりを務める」という約束をし、「とと姉ちゃん」が誕生します。

第1週目の視聴率は上々だったようですが、3人の子供たちは成長して配役も変わり、第2週目以降の人気はどうなりますでしょうか。楽しみなところです。

 

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