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規格外な夫婦②~強迫性障害の患者さんの奥さんが四コマ漫画を出版しました (ケセラセラ vol.85 夏)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 原井 宏明

 

主治医として

この本はとてもありがたいです。テレビ放送には絶対にならないような、文章でも説明困難な強迫症状が漫画の形でわかりやすく表現されています。診察室では患者さんが出すことがないために医師が直接把握することができない、一つ屋根の下で生活する人にしか分からないような症状が家族の困惑も含めて文字通り絵になって表現されています。困っていることを人にどう伝えて良いか分からず、立ち止まったままになっている患者さん、置き去りにしてしまっている家族にとっての福音になるはずです。

そして、行動療法家の目で見ると著者の“たまこさん”のすることが理に適っていることに気づかされます。ブログのページにこう書いてあります。

このブログを通じて、同じような境遇の方と交流をはかったり気持ちを共有したりすることが出来ればと考えています。

ですが!!

基本はゲラゲラ笑って病気を面白がる方向で!!

強迫性障害の人ってとっても個性的で面白いんです。

チャップリンの名言に“人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である。”があります。そして、50年前、行動療法が始まったとき、不安に対する対処法として勧めていたものの一つが“笑うこと”なのでした。そして強迫性障害の患者さんがする逆説的行動は距離を取ってみれば笑えることです。本の後半は、たまこさん自身が親の影響や自分のうつ病をどう乗り越えてきたが描かれています。笑うことが病気の治療につながることはこの中で会得されてきたことのようです。

 

病気を公開し、本を出すこと

でも、世の中、病気を面白がる人ばかりではありません。病気や家族の苦しみをネタにして本で稼ぐ気かと思う方もあるでしょう。本の中には子供たちも登場します。子供たちの将来に影響するのではないかと心配する方もあるでしょう。

1990年代、ロサンジェルスに住むゲイ男性(HIV陰性)についてUCLAの免疫学者S・コールが面白い研究を行いました。ゲイであることを周りに公表している男性と完全に隠している男性の間で、風邪や肺炎などさまざまな感染症の頻度を比べると1:4になるのでした。自分が病気などの悩みを隠しているということは、周りに対して壁を作ることになります。周りを敵に囲まれているような気持ちでいることが、体のストレス反応を高めることになり、結果として免疫機能の低下に繋がるというのがコールの結論でした。この研究が精神障害の患者やその家族に当てはまるかどうかはわかりませんが、隠すことがストレスになるのは本当でしょう。隠し事があれば、笑いも消えてしまいます。

もちろん本を出すとなると周りへの公表以上の結果が生じることがあります。ベストセラーになるかもしれません。本を出したことを後悔する日が来るのかもしれません。そのとき、ブログだけなら閉じれば忘れ去られますが、本は絶版になってもどこかの図書館に残り続けます。将来がどうなるか、こればかりは誰にもわからないことです。

でも、いくつか、私にもはっきり分かることがあります。本は残ります。私は最初の本を出したとき、書籍店の書棚に置かれたその本の前で記念写真をとりました。そして父が亡くなったときに棺の中に私の本を入れることができました。形のあるものとして自分の作品を世の中に出せたことは何かのタイミングで人生を振りかえったとき、生きてきた証のようなものになるはずです。そして、この本が不潔恐怖以外の強迫性障害についての一般の知識を深めるのに役立つのは確かです。

一度手に取って読んで頂くことをおすすめします。原井の似顔絵も出てきます。

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