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1996年に何をしていたか?(ケセラセラvol.87)

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック 院長 吉田栄治

 

年の瀬もせまり、ケセラセラのこの原稿を書いている今、2016年も終わろうとしています。この記事が出るのは年が明けた2017年(平成29年)の1月かと思います。皆様、良き年を迎えられましたでしょうか。

今回の題名は、ちょっとおかしな題名ですね。1996年って何のこと?という感じですね。実のところ、この年に特別の意味はなく、たまたまの話なんです。

以前にもちょっと書きましたが、土曜日は月に2回ほど同級生の病院に出向きまして、職員に対するメンタルヘルスの仕事をしています。そちらからの車での帰り道は、いつもカーラジオでショコタン(中川翔子さん)がMCを務める『アニソン・アカデミー』というアニメ・ソングの番組を聴いています。私が知っているのは1970年代くらいまでのアニソンで、新しい歌は知らないものばかりなんですが、ショコタンのハイテンションな解説や、ゲストで来られたアニソン歌手の方達の体験談などが、なかなか面白くていつも聴いています。

この間は、ワンピースの主題歌ウィーアーの作詞作曲家が来られて、この歌が1週間ほどで完成したいきさつやら、この歌の歌詞に込められた意味などを熱く語っておられました。ちなみにワンピースはうちの娘がまだ小さい頃で、私も娘と一緒にテレビでちょくちょく見ていました。

♪ ありったけの夢をかき集め
捜し物を探しに行くのさ
ONE PIECE ♪

なかなかいい歌ですよね。ちなみに「捜し物を」と「探しに行くのさ」で、漢字を変えているのは意味があるんだと話しておられましたが、どういう意味だったかは、忘れてしまいました(笑)。

話が横道にそれてしまいました。本題に戻りますね。そのアニソン・アカデミーでちょっと前に「1996年に流行ったアニソン・ランキング」というのをやっていたんですね。それを聴いていた時に、1996年かあ、今から20年前だなあ、私が37歳の時か、37歳の時というと、どこで何をしていたかなあ、と思案してしまったんですね。皆さんどうですか。皆さんは「1996年に何をしていましたか」といきなり聞かれたとして思い出せますか。

今現在、20代、30代の若い人にとっては、20年前というと、5、6歳の頃だなとか、17、18歳の頃だったなという感じで、小中学生?高校生、大学生の頃に該当しますから、すぐに何をしていた頃か思い出せると思うのですが、今40代の後半から50代すぎくらいの方は、20年前というと、もう社会人になって数年が経っていて、学生の頃のようにはすぐに何をしていた頃か思い出せない、ということになるのではないでしょうか。社会人になってしまうと、学生の頃のように3年なり4年なり6年といった区切りがないので、長い時間があっという間に、単調に過ぎてしまうということなのだろうと思います。

私の場合は、昭和59年(1984年)に防衛医大を卒業して、2年間の卒後研修の後、自衛隊中央病院、岐阜病院、仙台病院と19年間、自衛隊の病院で勤務し、平成15年(2003年)に赤坂クリニックに院長としてまいりました。平成29年(2017年)で、赤坂クリニックに来まして14年が経とうとしているんですね。当時は、私も44歳でした。

最初の問に戻りますが、1996年、今から20年前は、何をしていたか?。各年代を順番にたどっていかないとなかなか当時の記憶が出てこない。そうしたところ、うちの娘が生まれたのが1990年だったことを思い出しました。つまり1996年というと、娘が6歳でちょうど小学校に上がる前の頃だった、ということに気づきました。自衛隊中央病院から岐阜病院に転勤する直前でした。子供がいると、子供の進学・成長に合わせて自分の年代史を思い出すきっかけになるんですね。ちょっとした発見でした。

それでは、お子さんがおられない方の場合はどうするか。別にどうもしなくてもかまわないと言えば、かまわないんですが、少し自分の歴史を振り返ってみるということは、それなりに意味があることではないかと思います。

そこでご紹介ですが、数年前に『自分史年表』という本がちょっとはやりました。左側のページにその年の主な出来事や世相が書かれていて、右側のページにその年に自分がしていたことを記録するという本です。左ページに書かれた社会の出来事や世相がヒントになって、そのころ自分が何をしていたかを思い出すきっかけになるわけですね。この本の帯に書かれていたキャッチコピーの抜粋を少しここに引用しておきましょう。

「我が人生の記録」…眠る記憶をたぐりよせ、新たな思い出の扉が開くのは楽しいものだ。思い出を書き込むだけで脳が若返り、自然に「プライベート史料」が出来上がる。

自分の人生を5年、10年のスパンで振り返りつつ、次の5年、10年をどう過ごしていくか、時にはじっくり考えてみる機会を持つのも、いいのではないでしょうか。

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