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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ(その2)(ケセラセラvol.102)

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック 院長 坂元薫

世界中に立ち込めた暗雲は一向に立ち去ろうとしない。新型コロナ感染症(COVID -19)拡大により発令された我が国初の緊急事態宣言が解除された2020年5月下旬から6月にかけて我が国では一時的に感染拡大終息の兆しが見えたかに感じられたものの、7月に入り、すでに第二波と言ってもよい感染拡大が急速に進行しています。新型コロナ感染症をめぐる混乱下で、私たちはどのような点に気を付けて日々の生活を送ったらよいのでしょうか。前回に引き続き、その具体的指針を紹介することにしたいと思います。
たとえ新型コロナウイルス感染症の世界的大流行のように、生活が混乱している最中であっても、体内時計が正確に働くように努めることで、つらい気分をやわらげることができます。今回は、どんなに非日常な出来事であふれていたとしても、医学的根拠に基づいた規則的な日常生活を送るために役立つ、誰でもすぐはじめられる簡単なポイントを以下にいくつかご紹介します。

日常生活を規則的に送るための自己管理術

•自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。そうすることで、あなたの体内時計は安定して働くようになります。
•毎日、同じ時刻に起きましょう。決まった時刻に起床することは、体内時計が安定して働くために最も大切です。
•毎日、一定時間を屋外で過ごすようにしましょう(訳注:密閉・密集・密接の3密の状況を避け、一人でいられる場所で)。体内時計の時刻合わせには、朝の光が欠かせません。朝といっても、お昼近くよりは、午前中の早い時間帯が望ましいでしょう。
•もし、あなたが外に出られないとしても、少なくとも2時間は窓際で過ごし、日の光を浴びながら、心を落ち着ける時間を持ちましょう。
•在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、毎日行ういくつかの活動をする時間を決めましょう。そして、毎日、同じ時間に行いましょう。
•毎日、運動をしましょう。できれば、毎日、同じ時間帯で(著者注:運動といってもハードなものである必要はありません。午前中の早い時間帯のウオーキングや軽いジョギング、室内でできる筋トレ、ストレッチ、エアロバイクなどでよいでしょう)。
•毎日、同じ時間に食事をしましょう。食事の時間になっても、食べたくない時もあるかもしれませんが、それでも時間が来たら少量でも良いので何かを口にしましょう。
•人との交流は、たとえ社会的距離確保の期間中であっても大切です。リアルタイムに考えや気持ちを分かち合えるような人はいるでしょうか? テレビ電話か音声通話かはどちらでも結構ですので、可能そうな方とコミュニケーションの機会を持つようにしましょう。すぐに相手が思いつかなくとも、誰かいなかったかを思い出してみましょう。LINEのような文章だけの会話であっても、リアルタイムにメッセージが行き交うものであれば大丈夫です。そして、毎日、同じ時刻にそういった相手とコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。
•日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝は)は避けましょう。もし、どうしても昼寝が必要な方は最大でも30分以内に抑えましょう。昼寝は、夜の深い睡眠を妨げます。
•夜間に明るい光(特にブルーライト)を浴びるのは避けましょう。コンピューターやスマートフォンのディスプレイも含まれます。ブルーライトは、睡眠に不可欠なホルモンを減らしてしまうことがわかっているからです。
•自分自身に合った、起床と就寝の時間を決め、一貫してその睡眠リズムを保つようにしましょう。もし、あなたが夜型ならば、たとえ家族の人より少し遅く寝て、少し早く起きることになったとしても大丈夫です。毎日、同じ時間に床につき、同じ時間に起きることがポイントです。

これらの生活リズムがきちんと整っているかを確認するためには表1の睡眠・覚醒リズム表を利用するのがいちばんよいでしょう。

表1)睡眠・覚醒リズム表

これは日本うつ病学会のホームページの双極性障害委員会の項からダウンロードすることができますので是非ご利用ください。
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/soukyoku.html

最後に国際双極性障害学会:時間生物学・時間療法タスクフォース(International Society for Bipolar Disorders; ISBD)、光療法・生物リズム学会(the Society for Light Treatment and Biologic Rhythms; SLTBR)が提言している「新型コロナウイルス感染症(COVID -19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ:先の見えない中であっても、日常の生活リズムには気をつけよう」の日本語訳をされた東京歯科大学宗未来先生に感謝いたします。

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