広場恐怖を克服するためのセミナー
私たちの実施している「広場恐怖克服のためのセミナー」について、なごやメンタルクリニック心理士の正木より紹介させていただきます。
このセミナーは,電車に乗れない,人混みが怖い,車の運転が苦手などの広場恐怖症状に悩む患者さんを対象にしています。服薬にて発作が治まったとしても依然として苦手な状況が残ることはよく知られています。一度でもパニック発作を経験すると,発作自体を怖がるようになります。そして発作と結びついた身体感覚が苦手になり,すぐ逃げ出したり,助けてもらえないような拘束された場所や状況で不安になります。そうしたことを嫌だ,不安だと回避することによって,一時的には不安から解放されます。電車に乗らない,人混みは避ける,車を運転しない,をしていれば恐怖も起こらないでしょう。しかし,避けることを続けていると悪循環になり,よけいに発作にとらわれるようになり,苦手なところはずっと行けないままになります。
広場恐怖を治すためには,不安や発作を弱めようとするのではなく,避けている場所や状況,そしてドキドキしたり,息苦しいなどの身体の感覚に対して積極的に馴らしていくこと(エクスポージャー,曝露)が必要になります。そうすることで,発作へのこだわりがなくなり,恐怖対象にも平気になることができます。
治療には,患者さん自身が主体となって,自分の行動を変えていくことが大切です。そのためには,自分の症状を知っておくことが必要です。そして,どの行動をどうすることが良いのか,目標をつくり,課題を決めていくようにします。治療者がトレーナーとなり,十分な時間と回数の不安を経験すれば,どんな不安がやってきても動じなくなり,パニックもなくなります。この方法を受けた患者さんは,薬物療法単独の方よりも症状が軽くなることがわかっています。
このセミナーは4回のメニューで行います。さらに知りたい方は,気軽にお尋ね下さい。
毎週1回,90分 1回 集団保険診療+予約料(1,050円)
1回目 準備①
治療には知識が必要です。広場恐怖の仕組み,症状がなぜ維持されているのかなどを解説します。ご自身の行動パタンを知ることが大切です。
2回目 準備②
目標を決め,そのためにどの行動をどうすることが良いのか課題を決めていきます。患者さんに合わせて不安階層表を作ります。また,自分の考え方をチェックできるようにしたり,リラクセーションの方法を学びます。
3~4回目 実践①&②
治療は悪循環から逃れることです。エクスポージャーを行っていきます。治療者の補助付きからはじめ,一人で繰り返し練習をしていけるようにします。