日常のストレスを減らし、ウェルビーイングを高めるマインドフルネスストレス低減療法
マインドフルネスストレス低減療法(MBSR)は,苦しみを解き放ち,より健康で,適応的な人生を送るための方法です。マインドフルネスは,“今この瞬間に,価値判断せずに注意を向けるこころのあり方”のことです。MBSRでは,座る瞑想や,ヨーガ,ボディスキャンなどのマインドフルネス技法を用いて,このこころのあり方を高めていきます。生活する上で,様々なストレスが生じますが,マインドフルネスを通して,自分自身と向き合い,より生きることに立ち返ることを目的としています。MBSRは,Kabat-Zinn博士によって開発され,不安や抑うつ症状に高い効果が報告されています。例えば,不安症患者を対象にMBSRの有効性を検討したVøllestad et al.(2011)によると,MBSRを受けた者は,受けなかった者よりも臨床的に意味のある不安と抑うつ症状の改善が示され,高い治療効果が報告されました。
【MBSRで実践する主な内容】
①座る瞑想
正しい姿勢で座り,呼吸や体の感覚に意識を向けていきます。注意がそれてしまい,何か考え事をしてしまったら,そのことに気づいて,優しく呼吸に注意を戻します。呼吸や体の感覚を通して,今この瞬間にとどまっていきます。
②ヨーガ
体と呼吸の感覚や状態に注意を向けながら,体を動かしたり,伸ばしたりしていきます。その際に生じる身体の感覚を感じ取っていきます。
③ボディスキャン
身体の各部位に注意を向けて,その感覚を感じ取っていきます。身体の感覚への気づきを深めていきます。
赤坂クリニックでは,MBSRの有効性に関する研究も行なっています。これまでMBSRは3つのグループが終了しました。ストレス反応,不安症状,抑うつ症状に関する治療効果を検討しました。その結果,MBSRを受けた方は,ストレス反応,不安症状,抑うつ症状の大きな改善が示されました。また,ストレス反応と不安症状においては,通常治療に比べて臨床的に意味のある改善が見られました。MBSRを受けた患者さんから,上記の症状改善以外のたくさんの肯定的な感想を頂きました。
赤坂クリニックでは,マインドフルネスの研究に参加くださる方を募集しています。
現在,以下に示す2つのコースの研究参加者を募集しています。
①社交不安のためのマインドフルネス認知行動療法
②うつ病の改善及び予防のためのマインドフルネス認知療法
ご興味がありましたら,受付(電話番号:03-5575-8198)にお問い合わせください。MBSRについては,2022年度以降に開催する予定です。
謝辞
本研究に参加いただいた研究対象者の方々に心より感謝申し上げます。
引用文献
Vøllestad, J., Sivertsen, B., Nielsen, G. H. (2011). Mindfulness-based stress reduction for patients with anxiety disorders: evaluation in a randomized controlled trial. Behaviour Research and Therapy, 49, 281-8.