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子どもの不安症を見逃さない⑫対人恐怖(社交不安症)は治療できます!(ケセラセラ2026年9月号 vol.151)

医療法人和楽会 理事長 貝谷 久宣

 お子さんが「人前で話せない」「友達に自分から話しかけられない」「学校で発表するのが怖い」「人からどう思われるかがとても気になる」という様子を見せることがあります。単なる「恥ずかしがり屋」や「性格」と思われることもありますが、不安が強く、学校生活や友人関係に支障が出ている場合には、「社交不安症」という病気が関係していることがあります。

 社交不安症は思春期に多くみられますが、小学校低学年(8歳ぐらいから)から明らかになってきます。しかし、このような子どもは既に幼児期から「行動抑制」として専門家の間では取り扱われています。社交不安症のお子さんの場合、「怖い」と言葉で説明するとは限らず、学校に行きたがらない、発表になると固まってしまう、先生や友達と話せない、親から離れられない、泣くなどの形で現れることが多いです。

 大切なのは、社交不安症は「本人の努力不足」ではないということです。不安を感じると、人はその場を避けたくなります。例えば、発表が怖くて休むと、その時は安心できます。しかし、「避ければ怖い思いをしなくて済む」という経験が繰り返されると、次第に回避が強くなり、避ければ避けるほど怖さは増していくのが普通です。このような状態が長く続くと、学校生活や友人関係に影響し、自信を失ったり、抑うつ状態を伴ったりすることがあります。

 一方で、社交不安症は治療できる病気です。子どもでは、認知行動療法(CBT)が重要な治療法です。特に「少し緊張するけれど、やってみる」という経験を段階的に積み重ねることが大切です。薬物療法もCBTと同じくらい効果があります。ですから、両方を合わせてする治療がベストです。勿論、小児にも使用が認められている治療薬があります。

 ご家族にお願いしたいのは、「無理に頑張らせること」と「何でも代わりにしてあげること」のどちらも避けることです。「どうして話せないの?」「もっと頑張りなさい」と責める必要はありません。一方で、電話や店員さんとの会話などをいつも親が代わりにしてあげると、お子さんが「自分にはできない」という思いを強めてしまうことがあります。

 「怖いんだね」「緊張するよね」と気持ちは受け止めながら、「では、どうしたら少しだけできそうかな?」と一緒に考えてあげてください。そして、できた結果だけではなく、「怖かったけれど挑戦したこと」をしっかり褒めてあげてください。

 また、スマートフォンやSNSについては、単純に使用を禁止するだけでは十分ではありません。人との関わりを避けるためにスマートフォンだけで交流するようになっていないか、SNSを見ることで他人と自分を比較して苦しくなっていないかを見てあげることが大切です。

 社交不安症への対応で最も大切なのは、「不安をなくしてあげること」ではなく、「不安があっても一歩ずつ行動できるように支えてあげること」です。お子さんのペースを尊重しながら、家庭・学校・医療機関が協力して支えていくことが、回復への大きな力になります。

 社交不安症は放置するとうつ病に発展する場合がかなりの割合であります。また、本人の自己実現を狭めてしまう病気ですので、さしあたり大きく困ることはなくとも、できるだけ早期に治療することは大きな意義があります。早期の介入は、その子供の一生に大きなメリットを生む可能性が強いと私は信じています。医療法人和楽会(赤坂クリニック・横浜クリニック)では認知行動療法も薬物療法も行っています。

貝谷久宣理事長のnoteでも公開しております。
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