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こだわりに対する行動療法

先週に引き続いてなごやメンタルクリニックの強迫性障害の方むけの認知行動療法について、岡嶋心理士よりご紹介いただきたいと思います。

ちなみに、前回は集団で行う認知行動療法についてのご紹介でしたが、今回は個人で行うものになります。

なごやメンタルクリニックでは、強迫性障害(OCD)に対する専門的な治療を専門行動療法士2名(精神科医・原井、心理士・岡嶋)により行っております。強迫性障害とは、さまざまな行動の中にこたわりのマイルールを作ってしまい、その通りにしないと不安になったり不快感が増すために、日常生活を不自由にさせてしまっている状態です。風呂だけで20数時間、トイレに50数時間、戸締り確認に60分、診察室から出ていくのに2時間などという重症の方も来院なさいます。

軽症から重症まで、不安への対処のルールもさまざまで、人の数だけ千差万別の様相を呈する疾患です。症状だと気付かずに、あるいは病気ではないと否認する無自覚の強迫性障害患者さんの多くは、家族や職場でのコミュニケーションに問題を抱えていることもしばしばです。

ある患者さんは、うつ気分を訴えて来院なさいました。仕事上の失敗や家族に対する申し訳なさなどの後悔について、目が覚めるとすぐに、また、夕暮れになるとずっと考え続けていました。二度と失敗しないように、今後、家族に迷惑かけないようにと、いやな気分を払しょくする方法をあれこれ試してはうまく行かないためにカウンセリングに来られました。

いやな気分はこんなネガティブな思考のせいだと気づいて、すぐに行動を方向転換できる方は、強迫性(こだわり)が小さい方です。合理的思考がわかっても行動を変えることができない方には、論理的な対処ではうまくいかないものです。こだわりに抵抗せず、こだわりを大事にしながらも日常生活への支障を減らしていけるようにサポートしていきます。

前述の患者さんの場合は、繰り返し考え続けていることをやめ、別の行動に置き換える練習をすることによって、うつ気分が無くなっていきました。なかなか治らないうつ病の場合、強迫性が隠れていることがしばしばです。そのような方には行動療法をお勧めします。

強迫性障害について、詳しくは、「図解やさしくわかる強迫性障害」(ナツメ社)をご一読ください。

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