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ゴールドコンサート 

先月のことになりますが、和楽会のスタッフもお手伝いで参加しました「ゴールドコンサート」が開催されました。
和楽会理事長であります貝谷先生も当日来て下さり、その時の様子を季刊誌ケセラセラに載せてくださいました。

今回はその記事をご紹介させていただこうと思います!ゴールドコンサートに来ることができなかった方も・ゴールドコンサートについて知らない方も・もちろん来てくださった方にも、多くの方々に音楽会の様子を知っていただけたらなぁと思います。

 

第9回ゴールドコンサートがこの9月22日国際フォーラムで開催された。

このコンサートを企画運営しているのは全身介助の生活が20年以上続いている筋ジストロフィーの青年Y君である。彼は日本の大学を出て米国バークレイで自立生活を始めた。この町は米国で最も障がい者の過ごしやすい街である。ここで米国式の障がい者に対する考え方、福祉の在り方を学ぶため、カリフォルニア大学バークレイ校ゴールドマン政策大学院の公共福祉学科を専攻した。1999年、3年がかりで大学院を修了し、翌年ジョイスチック車を自分で運転してアメリカを横断旅行した。この記録はNHKで放映された。帰国後彼は「日本バリアフリー協会」を設立し重度障がい者が運転可能なことを世に広めた。  

Y君は米国だけでなくヨーロッパの障がい者とも交流し、多くの知己を得た。デンマーク筋ジストロフィー協会会長クロー氏もその一人であった。クロー氏はグリーンコンサートを30年近く催しており、今やこのコンサートはデンマークの夏の名物になっている。クロー氏は筋ジストロフィーという障害を社会に知らしめただけでなく、コンサートによる莫大な収入でデンマークの福祉や難病研究を活性化している。Y君はクロー氏のグリーンコンサートを見学して日本でも障がい者による障がい者の音楽会を開くことを夢見た。そのコンサートの理念は、音楽により障がい者に対する一般の人の意識をポジティブにすること、さらに障がいを持つ人チャレンジドの自立と社会進出の支援をめざすことであった。そして、2003年ついにその夢は実現した。

第1回ゴールドコンサートは東京千代田区の内幸町ホールで開かれた。その合言葉は「音楽はバリアフリー」である。この音楽会は障がい者の自作自演の音楽のコンクールである。第9回の今年は100余組、約1500人からの応募があり、予備審査で10組が選ばれて競演した。会場は国連で提案された障害者の権利条約に記されている「合理的配慮」が十分になされたものであった。完全なバリアフリーとなっている国際フォーラムが会場に選ばれ、車椅子の席が確保され、聴覚障がい者用骨伝導体感音響システムの備わった椅子、手話や大スクリーンへの字幕、視覚障碍者への介助者など十分な準備がなされていた。

出場者ナンバー1の視覚・知的・肢体障害を持つ夜香(やこう)君は特別な補助ペダルを使って左足でピアノのペダルを踏み、右足はバスドラムのようにイスを叩き、ボイスパーカッションでスネアやハイハットなどのリズムを奏で全身一体となってピアノで「A列車で行こう」を弾いた。躍動感あふれる素晴らしい演奏だった。夜香さんは審査員特別賞を受賞した。楽曲賞を得たSAKURANBOさん姉妹はギターを抱えて車いすに乗ったまま歌ってくれた。

その「春一番が吹いたら」の歌詞の一部をここに示そう。

風は南から 強く吹きつけ
眠っている生命を揺り起こしてゆく
今 目覚めのとき 涙 ぬぐい捨て
澄み渡る青空へ 手を伸ばさなければいけないね

春一番が吹いたら 迷わず歩いてゆけばいい
私には弱い自分に 負けない強さが きっとある

 

歌唱・演奏賞を獲得した音心さんの演奏するオカリナは障害者を象徴するような籠の鳥の「カナリア」の心情を哀愁に満ちた素朴な音で謳い上げた。

グランプリを獲得した視覚障がい者の佐藤英里さんはわずか11歳だが自分で作詞作曲した歌「なないろの夢」ピアノで弾き語った。伸びのある澄んだ声で聴衆を魅了した。その一節を紹介する。

なないろの夢に 向かって進もう
どんな色に なるのかな
あしたの空 見る勇気もなく
なみだが あふれてきても
あしたに向かって 生きていこう
すきな空のこと 考えて
一歩でもいい すすめたら
たどり着けるよ きみの夢の色に

 

Y君は来年の10周年記念コンサートに「なないろの夢」を今から抱いている。一日数人のアテンダントの介助を受けながら、呼吸筋の働きも十分でないにもかかわらず、彼は最近ボイストレーナーに来てもらって練習に余念がない。スティーヴィー・ワンダーをゴールドコンサートに招聘してデュエットするのだとY君は意気込んでいる。

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