
永平寺参禅研修での体験を通して
今回は、心理士である私が昨年の秋に参加した、曹洞宗大本山永平寺の参禅研修での体験をお話させていただきます。
当院では治療の一環としてマインドフルネスプログラムを開催しておりますが、マインドフルネスのルーツは仏教にあることをご存じでしょうか。
仏教にも様々な宗派がありますが、その中でも曹洞宗という宗派は、「只管打坐(ただひたすらに坐禅すること)」を基本としています。
私たちは日々、何か目的があって行動していることがほとんどですが、「只管打坐」は、“満足感を得るために”とか、“悟りを得るために”など、目的を持って行うわけではなく、“ただ一筋に一つのことに集中すること”を意味しています。
この只管打坐という概念は、過去でも未来でもなく、「今、ここ」の一瞬一瞬を感じるという、マインドフルネスの考え方のルーツとなっていると言われています。
寺院で坐禅を体験したり、法話を聞いたりして行う参禅研修には、半日体験、宿泊や食事を含んだものなど、様々な形式がありますが、今回私が体験したのは1泊2日の研修でした。
1日目は、坐禅、食事(精進料理)、講話、坐禅、2日目は、早朝坐禅、朝課(朝のおつとめ)への参加、諸堂案内、坐禅、感想共有を行いました。
座禅は、全部で4回行うため、始まるまでは「何度も坐禅をして疲れないか」「上手くできるのか」という不安がありましたが、修行僧の方が丁寧に座り方を教えてくださったので安心して座禅をすることができました。
講話の中では「只管打坐」の概念を、曹洞宗の開祖である道元禅師の教えを元に深く学ぶことができます。
また、座り方や息の吸い方などを、“やり方”だけではなく、“そうする意味” を論理的に学ぶことができます。
この講話は、自身の坐禅への向き合い方を考え直す、貴重な機会となりました。
私が永平寺に足を運んだのは11月中旬の秋頃でしたので、空気はスンと澄んでおり、境内は紅葉が非常に綺麗で鮮やかでした。その場に足を踏み入れただけで非常に心が洗われるような気持ちになります。冒頭の写真は私が研修に参加した際に撮影したものです。
皆様も是非、福井の澄んだ空気のもと、非日常的な空間での坐禅を体験してみませんか。
参考:大本山永平寺公式ホームページ https://daihonzan-eiheiji.com/taiken.html