
ストレスケアの秘訣を一緒に考えましょう(その3)(ケセラセラ2025年8月号 vol.138)
医療法人和楽会 赤坂クリニック
院長 坂元薫
自分はストレスとは無縁な生活を送っているという人は、おそらく極めて少数派だと思います。コロナ禍を乗り越えてきたといえども、世間ではいろいろな忌まわしい事件も起き、収入は少しも上がらないのに物価ばかりがどんどん上がっていく昨今。ストレスは増すばかりだという人も少なくないのではないでしょうか。
私が日ごろ考え、そして実践しているストレスケアの方法を前回に引き続きご紹介して、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
■「たくさんのことを一度にしようとしない (心と身体に余裕を残す習慣を )」
やらなければいけないことは、毎日、実にたくさんあります。ありすぎてどれから手をつけてよいかわからないことも珍しくありません。しかし、やらなければいけないことを一度にしようとすると結局は何もできずにその日一日終わってしまい、自分を責めることになってしまうかもしれません。
そんなときは、重要度や優先度をよく考えて、優先順位の高いものから手をつけることです。しかし、優先順位を簡単につけられないこともしばしばです。そんなときは、あまり厳密に優先順位を考えようとしすぎず、ざっくりとした順位づけでもよいのではないでしょうか。
また重要度や優先度が高いものは、実はそう簡単に出来ないことも少なくないのです。ですからなかなか取り掛かる気になれないこともしばしばです。そんな時は、重要度や優先度にこだわりすぎずに順番を変えて、最も簡単にできそうなことから済ませてしまうのはどうでしょうか。そうした簡単なことを一つでも二つでもこなせれば、気分も少し持ち上がり、場合によってはもう一つぐらいやってみようかという気になるかもしれません。そうしたらしめたものです。
一つずつきちんとこなしてから次の課題に移るという「縦並び法」で物事をこなしていかないと気が済まないという人が多いのかもしれません。しかし時には、いくつかの課題に少しずつ同時に手をつけていくという、いわば「横並び法」が効果的なときもあるように思います。一度試してみてはいかがでしょうか。というのも「縦並び法」では、最初の課題で立ち往生してしまうと何も達成できないまま時間がどんどん過ぎてしまうことになりかねないからです。
「これいつやるの?今でしょっ!」というフレーズが流行語になりました。たしかにそうした方がよいことがたくさんあるのですが、明日やってもよいことは思い切って明日に回すということにしてみてはいかがでしょうか。その分、今日は早く休みましょう。あるいは、なかなか時間がとれなくて観られなかった映画を鑑賞してみるのもよいでしょう。あとから振り返ると大切な想い出の晩になっているかもしれません。