 
			ストレスケアの秘訣を一緒に考えましょう(その4)(ケセラセラ2025年11月号 vol.141)
医療法人和楽会 赤坂クリニック
院長 坂元薫
 自分はストレスとは無縁な生活を送っているという人は、おそらく極めて少数派だと思います。コロナ禍を乗り越えてきたといえども、世間ではいろいろな忌まわしい事件も起きたり、災害級の豪雨に突然襲われたりもします。収入は少しも上がらないのに物価ばかりがどんどん上がっていく昨今。その収入にしても税金や保険料をいやというほどひかれて残った手取り額を見てため息が出ることも少なくありません。そのようにしてストレスは増すばかりだという人も少なくないのではないでしょうか。
 私が日ごろ考え、そして実践しているストレスケアの方法を前回に引き続きご紹介して、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
■「完全主義をやめる」
 完全主義は決して悪くはありません。しかし、いつでも完全主義を貫こうとしていると、いつか疲弊しきってしまうときが来るのではないでしょうか。いま、自分が抱えている仕事や案件や家事は、本当にすべてを完璧にやる必要があるのでしょうか。多少余力を残す程度に済ませられることがあるのではないか、と検討されてみてはどうでしょうか。もちろん本当に完璧を目指して全力をあげてやるべきこともあるはずです。しかしそこまでしなくてもよいのではないかと思えるものもきっとあるのではないでしょうか。そうしたことに対しては、この際、上手に手を抜いてみることも覚えてはいかがでしょうか。そうすることによって生まれてくる自由な時間とこころのゆとりを大切にしたいものですね。(ちなみに今回、この文章を書くにあたって、私は完全主義をいかんなく発揮しています(笑))
■「自分の能力の限界を知って、高望み、背伸びしない」
 ただやみくもに完全主義を貫こうとすると、自分の能力の限界が分からなくなってついつい高望み、背伸びをしがちになります。もちろんときには、自分の限界に挑戦して背伸びすることも大事ですが、いつもいつもそうしているとじきに疲れ切ってしまいます。だからといって決して、諦めろということではありません。自分の能力を過小評価してはいけません。伸ばせるところは伸ばしていくことはもちろん大事です。 能力の限界内で最大限の努力をすることを怠ってはいけませんが、自分の能力の限界を正しく知り、受け入れ、その範囲内でゆとりをもって人生を楽しむことも実はとても重要なことだと思いますが、いかがでしょうか。
